地下鉄ホームレス宿に

「運休清掃を」
4市議が知事に書簡

 ニューヨーク市議会の4人の議員が地下鉄を一時的に運行停止することをクオモ州知事に求める書簡を送った。ロバート・ホールデン、エリック・ウルリッヒ、マーク・ゴナージ、ピーター・クーの4人の市議は「輸送システムにおける新型コロナウイルス (COVID-19)の蔓延を阻止するために抜本的な対策を講じる必要がある」と書簡で述べている。

 書簡では「地下鉄の従業員らは依然として不十分な防護服しか着けておらず、1週間にマスク1枚と手袋1組が与えられているだけだ。列車は本数を減らしたため混んでいる。またホームレスが常時いる状態だ。地下鉄従業員はほかのどの労働者よりも早く死んでいる。市の交通システムが新型コロナウイルスの蔓延のおもな原因であると考えている。列車を徹底的に清掃するために、システムを少なくとも1週間一時的に閉鎖することを求める」などとしている。閉鎖中は市と州はウーバーやリフトL、イエローキャブなどと提携して、エッセンシャルワーカー(生活に必要不可欠な労働者)の送り迎えをすればよいとした。

地下鉄職員ら死者68人
2496人が陽性反応

 これについて、地下鉄を運営するメトロポリタン交通局(MTA)のシェイムズ・タレック広報担当者は「危険で恐ろしい考え」だと反論。「私たちは、毎日命を救う医療関係者を運んでいる。民間タクシー業界には、北米で最大の交通システムと同じ能力はない。運行停止は1日たりともできない」と述べた。MTAは1日2回、地下鉄と通勤電車の700以上の駅すべてを消毒。列車とバスは毎日消毒しているという。また、これまでに、約100万枚のマスクと500万枚を超える手袋を配布しており、「多くの従業員は毎日手袋を交換している」と述べた。

 18日時点でMTA従業員の新型コロナウイルスによる死者は68人。2496人が陽性反応を示し、治療中または接触の疑いがあるため隔離中は4365人にのぼっている。

 ニューヨークのデブラシオ市長は19日、バスや地下鉄なしに職場へ行く方法は考えていないと明らかにした。「ソーシャルディスタンス(社会的距離)を守ることが大事で、MTAは乗客の数を制限しながら運行すべきだ。それが守られているかどうかは警察が取り締まる」と述べた。地下鉄の利用者は現在、通常の90%減となっている。

(写真)地下鉄車内で寝るホームレス。(20日午後2時頃、地下鉄Dライン、ロックフェラーセンター駅で、写真・三浦良一)