アジア憎悪激化

犯罪急増、取り締まり強化

「モンキー!」路上で罵倒

チャイナタウンのネイルサロンで従業員を罵倒して逮捕されたウィリアムズ容疑者(地元テレビ画面から)

 ニューヨーク市警によれば、3月だけでアジア系市民に対し少なくとも33件のヘイトクライム(憎悪犯罪)が起きた。市警は取り締まり強化を図っているが、4月に入っても止む気配がない状態だ。

 ブルックリンのイースト・フラットブッシュにあるコインランドリーで5日午後5時頃、女が店のカウンターに無断で入ったためアジア系の女性従業員(47)がとがめたところ、女は洗剤のボトルで従業員の頭を地面に倒れるまで何度も殴り、逃走した。女性従業員は軽傷を負った。マンハッタンでも7日午後7時36分頃、グランド通りで屋外で食事をしていた2人のアジア人に女が近づき、アジア人への差別的言動をしたうえで一人の女性の顔を引っ叩いた。警察はそれぞれ防犯カメラに映った動画を公開し、犯人の行方を追っている。

 ニューヨーク市警察は7日、アジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)および暴行事件関連で容疑者2人を逮捕・起訴したと発表した。

 一人はグレゴリー・ジャック被告(33)で、4月3日午後6時頃、ミッドタウンにあるセブンイレブンで、アジア系従業員(26)が万引きしようとした男を止めようとしたところ、男はアジア人への差別的言動を吐きながら、従業員の顔を数回殴った。もう一人はジョセフ・ルッソ被告で、ブルックリンのシープスヘッドベイにある食料品店で5日午前11時頃、買い物客のアジア系男性(77)を地面に押し倒すなど暴行行為を働いた。ルッソ容疑者はこのほかにも3月22日にミッドウッドでアジア系女性(33)の髪を引っ張るなど行為をしたことが防犯カメラで確認されている。グレーブセンドでもアジア系女性(64)を突き飛ばした疑いがある。

 ニューヨーク市警はアジア系への犯罪行為を取り締まるため私服警官を増やしており、現場での逮捕に至ったケースも出ている。チャイナタウンでは7日、女がネイルサロンに入り、アジア系の従業員に「お前らがこの国にコロナを持ち込んだ」などと罵倒。その後、店を出て歩道にいた通行人らに「モンキー」「チャイニーズ、マザー・F***」など叫び続けた。居合わせた私服警官がその場で逮捕=写真=。女はシャロン・ウィリアムズ被告(50)でヘイトクライム(憎悪犯罪)となる悪質な嫌がらせ行為罪で起訴された。

 9日には、ペンステーション近くの7番街33丁目付近で午後4時30分頃、私服警官と知らず、「墓場にたどり着く前に中国に帰れ」「小便をかけ、顔をはたくぞ」などと脅した男が逮捕された。犯人のジュビアン・ロドリゲス容疑者(35)は麻薬や暴行など過去20件以上の逮捕歴があった。

ドアを閉めたドアマン解雇

 ミッドタウンのコンドミニアム(43丁目360番地)の前で起きた65歳のアジア人女性暴行事件に関して、6日、建物の中から暴行の様子を目撃していたドアマンとコンシェルジュを解雇したとビルのマネジメント会社が発表した。

 監視カメラの映像には、暴行の様子をただ見ている配達人の姿や、暴行男が去った後で道路にうずくまっている女性を前にドアを閉めたスタッフが映っていた。男性らは女性を助けようとしなかったとして、非難の声が多く寄せられていたが、ドアマンとコンシェルジュの2人は、男がナイフを出すのを見たため止めに入らなかったと説明していたという。マネジメント会社は解雇理由を「必要な緊急・安全手順が遵守されなかったため」とし、その場に居合わせた場合の緊急対応手順など、再教育を実施すると述べた。

腕つかまれ危うく線路に
日本人地下鉄駅で襲われる

 ニューヨーク日本総領事館は14日、ニューヨーク市の地下鉄の治安に関する注意喚起を発信した。それによると在留邦人から、4月7日夜、友人とブルックリン地区の地下鉄G線メトロポリタン街駅のプラットフォームで地下鉄を待っていた際、見知らぬ男に腕を掴まれて線路に引きずり下ろされそうになったとの報告があった。他の乗客が止めに入ったことから、加害者はいったん現場を去ったものの、5分後に再び現れて被害者に暴行を加えようとし、改めて他の乗客が被害者を取り囲んで守ったため、加害者はようやく立ち去った。被害者はその後、ニューヨーク市警察(NYPD)に被害届けを出し、総領事館にも連絡した。

女性にタクシー代提供します。

 ニューヨークで広がるアジア人に対するヘイトクライムの増加に伴い、アジア人の高齢者や女性に対して配車サービスの利用料金を一部負担するプロジェクトがスタートした。

 発起人のマディ・パクさんはインスタグラム(@cafemaddycab)を開設し、アジア人の高齢者や女性、LGBTQの人々に対し、ウーバーとリフトの利用料金を最大40ドルまで提供すると発表した。パクさんは自己資金と友人らの援助を受け、2000ドルでプロジェクトをスタート。寄付を呼びかけたところ、わずか2日間で10万ドルが集まったという。サービスはマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス。使い方は前出のインスタグラムを参照する。寄付はVenmo (@cafemaddyCAB)でも受け付けている。

警察官が安全対策講演
JAA春のサクラフェアで29日

 ニューヨーク日系人会(JAA)が開催する第13回JAA春のサクラフェアーで、NY日本総領事館とNY日系ライオンズクラブの共催企画「邦人安全対策虎の巻」が29日(木)正午から1時間ZOOMによるオンラインで開催される。NY市警察(NYPD)の現役担当官が犯罪からの身の守り方などを含め、深刻な問題となっているアジア・コミュニティーの安全対策として講演する。 質問は事前に受け付ける。申し込みはNY日系人会のEメール info@jaany.org

NYを前衛のリングに

篠原有司男・著
東京キララ社・刊

 美学生交友録とでもいうか、インターネットもファックスもない、国際電話すらかけることのできなかった時代、でもそれほど遠い昔でもない60年代前後からの男の友情を記録した書簡をもとに一冊にまとめた本だ。篠原有司男がニューヨークから田名網敬一に出した絵葉書や書簡は当時のまま時系列でかなり正確に保管されて膨大に残っているが、田名網から篠原に宛てた手紙(おそらくはそれと同じだけの膨大な手紙)の数々はどこかに行って消えて無くなってしまっているところが、50年の一方通行の書簡集として、より強烈な輝きを放っている。書簡ではないが、篠原がニューヨークにロックフェラー3世奨学金で渡米する前、銀座の洋書店イエナで2人が、本をいっぱい抱えた植草甚一が階段から転がり落ちて、二人が本を拾って助ける場面が描かれている。

 その時に植草が「君たち絵を描いているの? だったら面白い本を教えてあげるよ」と「ARTNEWS」という美術雑誌を見せた。田名網は「我々二人は、そこにあった小さな図版に釘付けになり、顔を見合わせた」と書く。それはアンディー・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインなどポップアートの台頭を告げる紹介ページだった。「今、アメリカで注目されているアートがこれなんだよ」と植草がポップアートの理念を懇切丁寧に紹介してくれたという。若き二人が神妙な顔で本の山の中で話を聞いている光景を想像するだけで楽しい。69年に待望のニューヨークの地に降り立つ。ご存知とは思うが、篠原は、通称ギュウチャンでアーティスト。1932年、東京都生まれ。東京藝術大学中退後、60年に吉村益信、赤瀬川原平、荒川修作らと「ネオダダイズム・オルガナイザーズ」を結成。69年に奨学金を得て渡米し、以後ニューヨーク在住。2014年、その破天荒な生活に密着したドキュメンタリー映画『キューティー&ボクサー』が米アカデミー賞にノミネート。ここ1年は新型コロナウイルスのパンデミックで巣ごもり状態らしいが。

 田名網敬一もアーティスト。1936年、東京都生まれ。武蔵野美術大学在学中からポスターや雑誌などのデザインを開始。広告代理店の博報堂に就職した後、日本版『月刊PLAYBOY』などのアートディレクションを手がけた。本書も篠原のニューヨークでの素顔を田名網ならではの監修で見事に仕上げている。

 一度だけ篠原のブルックリンの自宅兼アトリエ兼屋上にお邪魔したことがある。まだご長男のアレックス空海くんが洗面器の中で泳いでいる時代だった。本書122ページにはその頃のエピソードとして五番街にあった日本航空ロビーに展示された前衛オートバイの作品が掲載された1987年6月18日付「The Yomiuri America」の切り抜きが掲載されている。「JALサイケに変身」という見出しを付けた記憶が蘇ってきた。あの記事をレイアウトしていた頃から34年もたつが、彼は今もあまり変わらない。 (三浦)

パリの老舗の味、NYでも静かな人気

 1862年にパリで創業した老舗パティスリー「ラデュレ」。ラデュレといえば、2つのマカロンの間にガナッシュクリームを挟んだ「マカロン・パリジャン」発祥の店として有名だが、その脇に置いてある焼き菓子も見逃せない。可愛らしい筒状の透明パッケージに入ったクッキーや各種クロワッサン、エクレア、カヌレのほか、顔が隠れるほどの大きさのパルミエも香ばしくておすすめ。パルミエはフランス語で「ヤシの葉」を意味するハート型のパイで、表面に砂糖をふって硬く焼きあげたもの。ラデュレのパルミエは薄いがずっしり重くカリカリで、噛むほどにバターの風味が鼻に抜ける逸品だ。

 ラデュレではスープやサンドイッチを頼んでランチにしても、香り高い紅茶とマカロンで優雅なティータイムを楽しむもよし。マジソン店は店舗前に幾つかテーブルがあるだけなのでゆっくり食べるならソーホー店。ソーホー店の広い中庭には桜の木があり、毎年花びらが舞い散る季節にはピンク色の花びらの絨毯が中庭全体に広がり美しい風景が楽しめる。


Ladur

マジソン店:864 Madison Avenue

ソーホー店:398 West Broadway

https://www.laduree.us

営業時間:毎日午前10時から午後7時


その4:実は「ワイン王国」なミズーリ州

さあ行こう! 魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!日本は2年続けての外国人観光客不在の桜シーズンも終わり、夏に向かって日に日に暖かくなっています。先週新年度が始まりましたが、この号が出る頃はもうゴールデンウィークも間近でしょうか。日本の状況はちっとも良くなっていませんが…。

 さて今月のテーマ。私は以前カリフォルニア州ナパバレーの某ワイナリーで働いた経験があるのですが、その時のお客様より「ルート66にはワイナリーはあるのか?もしあるならそこへ行くプランを教えて欲しい」とのご要望を頂いたので、今回はワイナリー巡りを絡めたルート66旅のご紹介をしたいと思います。「えっ?ルート66でワイン?」皆さんの反応が想像できますが、ルート66にだって、NYロング・アイランドに(多分)負けない?美味しいワインがあるんですよ!

 というわけで今回登場するのは「ミズーリ州」。実はこのミズーリ州、結構なワイン王国なのです。そう、何と9つもの「ワイントレイル」が存在します。どうしてまたミズーリで?と言えば、米国開拓史時代に多くのフランス人が交易のためにこの地で生活していたことが挙げられます。セントルイスにはビール工場もあるように、ミズーリ州はワインやビールなどのアルコール産業が発達しました。ルート66が通るのは州の南西部にあたる「オザーク・ワイン・トレイル」地域となり、そのオザークの丘陵地帯St. JamesとRosatiの街を目指すことにします。

 発着空港は同州セントルイス、ランバート国際空港です。中都市の空港としては比較的大きく、機能的で使い勝手が良いので私もお気に入りの空港です。空港はダウンタウンから14マイル、車で20分程度の距離ですので、街へ行くにも南下してルート66方面に向かうにも、便の良い場所にあります。旅のシナリオは2泊3日、初日午前中にセントルイスに着く行程で。移動同日に飲酒をするのは大変ですから、まずは空港から33マイル、車で約30分のEurekaの街を目指します。ここにはRoute 66 State Parkがあり、ビジターセンターも兼ねてますのでワイナリーなどの情報収集をするには絶好の場所です。(お土産屋さんも充実!)お昼はEurekaから26マイル離れたSt Clairまで行き、本場米国の伝統ダイナー、「 Lewis Café」へどうぞ。午後はSt Clairから車でもう15分強、初日のハイライトは、Stantonの街にあるルート66きっての行楽地「Meramec Cavern」(メラメック洞窟)でしょうか。

 メラメック洞窟は全長約5マイルにもなる洞窟で、開園は古く1933年。当時よりルート66の観光名所であり、今でも何と「ミズーリ州内最大の商業洞窟」で、(州内には6000もの洞窟があります)その人気具合も半端なく、毎年約15万人の訪問者数を誇ります。洞窟内を90分かけて廻るレンジャー付ガイドツアーが人気ですが、このメラメック洞窟は、歴史上悪名高いギャング、ジェシー・ジェイムズが逃走中に「隠れ家」として利用したことでも有名です。紙面の都合上、詳細はググって頂きたいですが、かの人気俳優ブラッド・ピットも2007年公開映画「The Assassination of Jesse James 」で主演を務めています。

 洞窟を満喫後は今夜の宿泊地、Cubaへと向かいましょう。この地域の宿泊ではCubaの「Wagon Wheel Motel」を選択しないのはルート66へ行った意味が無いと言っても良い程です。Wagon Wheel に泊まり、夕飯はモーテル隣の「Missouri Hick BBQ」(バーベキューは州の名物)、翌朝はモーテルから徒歩圏内「Shelly’s Route 66 Café」での朝食は「お約束」です。Cubaの特徴は街を彩る歴史的な壁画プロジェクト。モーテルで無料マップをもらって是非街を散策してみてください。

 2日目はCubaから西へI-44を15マイル程行ったSt Jamesまで行きます。ミズーリ・ルート66は、道がフリーウェイに取って代わられた部分が多いので地図で確認しながらI-44での移動をおススメします。St James地域には「Rosati Winery」、「4M Vineyards」、「Meramec Vineyards」、そして「St. James Winery」と、4つの主なワイナリーがあり、特にSt James Wineryでは軽食を取りながらゆっくりできるのでランチタイムに充てるのもいいかもしれません。この日のハイライトはワイナリーなので時間の許す限り複数箇所を楽しんだら、セントルイスに戻りましょう。複路はI-44がGray Summitという街でState Hwy 100(旧ルート66)と交差しますので、そこからセントルイスまではフリーウェイでなく、ミズーリ・ルート66を堪能するのがおススメ。セントルイスでのお宿はルート66に拘れば、「Wayside Motel」をお試しあれ。

 さて最終日、セントルイスは大都市ですので、観光スポットに溢れてますが、街のシンボルである「Gateway Arch」は絶対に忘れないでください。その他、「Old Chain of Rocks Bridge」、「Cathedral Basilica of St Louis」などの名所、そしてバドワイザーの工場見学ツアーもあります。個人的な趣味を言えば、当然MLBカージナルスの試合なんかも(笑)。更にこれを忘れてはけません、「逆さにしても落ちないアイス」で有名な「Ted Drewes Frozen Custard」も是非。皆さんのお好みに合わせて最終日はセントルイス観光を満喫してくださいね。

 ところで、「米国でもワイン飲んで運転したら捕まるんじゃないの?」と心配する方も多いと思います。もちろん米国でも飲酒運転は犯罪ですが、一滴でも飲んだらダメな日本と異なり、「最大血中アルコール濃度」が重要になります。21歳以上の成人は0・08%以上で違反となりますが、それが保たれていて運転に支障が出るほど泥酔していなければ逮捕は免れます。ですが、罰されなければそれで良いわけではないので、皆さん各自、自己の責任で「飲酒はほどほど」に、休憩と水分補給を充分取って楽しい旅になるよう心掛けてくださいね。それではまた来月お目にかかります!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年4月10日号)

(1)新規感染者の7割変異種

(2)護身術で身を守る

(3)草間彌生チケット発売中

(4)イケメン男子 スウエットシャツ

(5)トランプ大統領令失効

(6)第13回サクラ・ヘルス・フェア

(7)乳がんシンポジウム

(8)NY育英学園創立41周年

(9)Living in USA

(10  弁当で親日感深まった

新規感染の7割変異種

ニューヨーク市警戒強める

 ニューヨーク市保健省は3月31日、3月15日から21日の週に感染者から検出された新型コロナウイルスのうち、変異種が全体の70%を占めたと発表した。3週間前の51%からさらに増加した。

 ニューヨーク市公衆衛生研究所(PHL)とニューヨーク市パンデミック対応研究所(PRL)によると、3月15日から21日の間に確認されたのは、英国で最初に識別された「B.1.1.7」が590例、南アフリカで最初に識別された「B.1.351」が2例、カルフォルニア州で最初に識別された「B.1.427」が44例、同じくカルフォルニアで最初に識別された「B.1.429」が105例、ブラジルで最初に識別された「P.1」が1例だった。以上の5種はCDC(米疾病管理予防センター)が感染力が強いと懸念している。

 変異種はこのほかニューヨークで最初に識別された「B.1.526」が1800例、同「B.1.525」が10例、ブラジルで「P.2」が11例で、合計7078例だった。変異種は「B.1.526」が昨年11月にマンハッタンのワシントンハイツで確認されて以来増加。この8種は3週前は全体の50%だったが増加し70%にまで至った。ビル・デブラシオ市長は「私たちは状況を非常に深刻に受け止めている。決定を下す唯一の方法は、データと科学に導かれることです」と語っている。

 ワクチンを製造するファイザー、モデルナ、アストラゼネカは3社とも英国で最初に識別された「B.1.1.7」については、おおむね現行のワクチンは有効としている。一方、南アフリカで最初に報告された「B.1.351」については、ファイザーのワクチンでは抗体がウイルスを中和する効果が3分の1になったという実験結果が出ており検証中だ。モデルナも抗体の働きが6分の1になったという。ただしワクチンとして必要とされるレベルは上回っているとしている。アストラゼネカも軽度から中程度の症状を防ぐ効果が下がったものの「重症化を防ぐ効果はある」と発表している。  

75歳以上は予約不要
24時間ワクチン接種

 75歳以上のニューヨーク市在住者は、以下のワクチン接種会場にて予約無しで24時間いつでもワクチン接種を受けることができる。さらに、付き添い人もワクチン接種資格を満たしていれば、その場でワクチン接種を受けることができる。会場は、ブロンクス地区(Bathgate Contract Postal Station:4006 3rd Avenue)、ブルックリン地区(Brooklyn Army Terminal:140 58th St)、クイーンズ地区(Citi Field: 126th St, Flushing)の3か所。タクシーなどによる無料送迎車の予約も可能。問い合わせは電話877・VAX・4・NYCまで。

外出が困難な人自宅で接種可

 ニューヨーク市は、ワクチン接種資格があり、かつまだワクチン接種を受けておらず、ワクチン接種プログラムへのアクセスが不可、さらに外出が困難な人を対象に、ジョンソン&ジョンソン社のワクチンを自宅で接種するサービスを提供している。詳細はウェブサイトhttps://forms.cityofnewyork.us/f/homeboundを参照。

NY州民約3割ワクチンを接種

 ニューヨーク州は4月4日、これまでに1036万回以上の投与が行われ、州民の3人に1人が少なくとも1回、ワクチンを接種したと発表した。これは全米平均とほぼ同じだ。また対象も16歳以上とすると発表し、接種場所も増やし加速化を図る。しかし、前日の入院者数4373人、直近7日間の平均陽性率は3・56%で、3週間前の4486人入院、平均陽性率3・15%と、目立った効果はまだ現れていない。専門家からは変異種の継続的広がりがあるためではないかと懸念する声がある。

劇場やギャラリー接種証明で再開へ

 クオモNY知事は2日、ニューヨークの音楽とアートの会場は人数制限とコロナウイルス予防策で再開できると発表した。

 クオモ知事は先月、収容人数の33%に制限(屋内会場は最大100人、屋外会場は最大200人まで)したうえで、4月2日からイベントやアート、エンターテインメント会場での観客の動員を許可すると発表している。今回はさらに、全ての観客の新型コロナのワクチン接種証明か、陰性証明を確認することを条件に、アートやコンサートなどイベント会場の収容人数を屋内で最大150人、屋外では500人まで認めると付け加えた。

護身術で身を守る

 アジア系に対するヘイトクライムが全米で依然として治まらない中で、ニューヨーク日本総領事館では異例の注意喚起を在留邦人に行い、外出時の一人歩きは避けることなど呼びかけている。本紙では、路上で危険が実際に降りかかった時に、具体的に身を守るためにはどのように対応すれば良いのか、空手でニューヨークに門下生500人を抱え、セルフ・ディフェンスも教える誠道塾(中村忠会長)の師範たちにその心構えと基本的な動作について聞いた。

 同道場二代目の中村彰さんは、不審者に危害を加えられそうになった時は、まず声を出して相手の攻撃をストップさせることがセルフ・ディフェンスの鉄則だという。万が一トラブルに巻き込まれても正当防衛であることを後で立証できるからだ。

 また、同道場の師範、中村めぐみさんは女性の立場から、道路を歩いていて、もし違和感や不快感を感じたら、その通りから即座に出るか近くの店内に駆け込むことを勧めている。実際に襲われそうになった場合の反撃は、最後のオプションとし、その方法は、予め専門家にきちんと指導を受けておくことで心の準備や気構え、とっさの時の動作が可能となり、気が動転しないで冷静な行動を取ることができると話す。

(写真)護身術を披露する中村さん兄妹(2日、ミッドタウンの道場で、写真・三浦良一)

増悪犯罪から身を守る護身術を学ぶ

誠道塾空手のセルフ・ディフェンス初心者入門

まずは声で制御

 空手家でニューヨークで門下生500人を抱え、セルフ・ディフェンスも教える誠道塾(中村忠会長)の師範たちにその心構えと基本的な動作について聞いた(1面に記事)。

 同道場二代目の中村彰さんは「まず第一に、注意力散漫で、周りに注意を払わずに歩いていると隙があると思われて狙われる。頭を上げてまっすぐに前を向いて歩いていたら、ターゲットにはなりにくい。もし、そこが安全でないと思ったらその場所に居続けないことだ。道路を渡って反対側に行ってもいい。店に入るのもいい。もし安全でないと感じても、大袈裟な行動には出ないように。危険回避することを第一に考えて。

 もし、誰かが近寄ってきて何かを言い寄ってきたら声を使って。声は非常に強力だ。怖がらずに、あから様に無視するような態度は避けて、彼らに顔を向けて大声で一言「ストップ」と手を前して叫ぶこと。この行動をしていることで、トラブルに巻き込まれても後で正当防衛として証明することができる。自分を守ろうと意思表示したことを明確にしておくことだ。もし、相手に危害を加えることになったとしてもそれは、そうせざるを得なかったことになる。いきなり攻撃して殴ったりしないこと。まずは抑制を。

 声を上げて止め、ボディランゲージで制御し、それでも身を守らなくてはならない時は強いスタンスを維持すること。直立不動で立っていたら、簡単に蹴飛ばされたり、押し倒されたりする。腕を前に掲げて中腰で、足を引いて構える。

 もし、誰かが攻撃を受けているの見たら、携帯で写真を撮っているのではなく、一言「Hey! What are you doing?」と叫んで。世の中には悪人が必ずいるが、善人の方が多いことを信じて欲しい。先日のミッドタウンでのビル前で起こったアジア系女性に対する攻撃は、逮捕された犯人は母親殺しで服役していた犯罪歴のある良識の通じない人間だが、ビルの中で傍観していた3人の男性は犯人が去った後に彼女を助けることもしないでドアを閉めた。それは良識ある人間として恥ずべき行為だ。自分たちが空手をやっているのも、単に強くなるためだけではなく人間形成するため、弱いものを助けるために鍛錬している」。

  反撃は最後の手段 

 同道場師範の中村めぐみさんは「女性として、もし、私が道路で危険を感じたら、その同じ通りを歩き続けない。方向転換するか、店に飛び込む。セルフディフェンスの反撃技などを習得していても、それを使うのは最後のオプションで、走って逃げてもいいし、まずは危険を回避することが第一。心の準備や動作の基本を知らないと、そのような場面に遭遇してしまうととても不安で自分の身を守るための対処法が分からない。その意味でも、知識と体で準備ができていれば、同じ状況に直面しても、何をすればいいのかが分かっているので気が動転することはない。それが護身術を学ぶ最大のポイントだと思う」と話す。


5月にミッドタウン本部完成



誠道塾の中村会長(中央)と二代目の彰さん(後方左)、次女のめぐみさん(同右)

 中村会長は1942年生まれ。日本の空手家で、世界誠道空手道連盟誠道塾の会長。段位は十段。駒場東邦高校一期生。日本大学理工学部建築学科卒業。極真会館の発展に貢献し、大山倍達を支えた高弟で、大山の後継者とも云われた、初代首席師範。かつて大山倍達率いる極真会で「極真四天王」の一人に数えられ、1966年に同会米国支部設立のため来米。75年同会を脱退して76年に誠道塾を設立した。二代目の彰さんと築いて来た誠道空手の精神は、空手を通して豊かな人間形成をすることを目的とした「人間空手」。米国における空手道の普及に大きく貢献している。ことし創立45周年を迎える。5月にミッドタウン本部(西30丁目252番地)への移転が完了して道場を再開する予定だ。

 中村会長は「人間空手は、こういう環境の中、ヘイトクライムの中、安全でない中、根本は、気持ち。どういう気持ちで生活しているか、空手を指導する立場で言うと、全ての人を助けたいという情熱でやっている。身障者にしろ、退役軍人のプログラムにしろ、学習障害者の人にしろ、全てが学べる。特にこういうセルフ・ディフェンスが必要な時に、正しい教え方、人間的に少しは成長できるようなことを体得してもらえるよう指導に務めている」と話す。同道場では、新規移転に伴い、セルフ・ディフェンスのワークショップなども計画している。

 問い合わせはEメールでinfo@seido.com まで。

教本を読者プレゼント

 ニューヨーク在住の空手家で誠道塾会長の中村忠さんの教本(英語版)を抽選で3人にプレゼントします。セルフ・ディフェンスについても解説しています。応募は本紙編集部まで取りに来ることができる人限定(月曜から土曜・要アポイントメント)。希望者は氏名と「誠道塾空手教本を希望」と明記してEメール(miura@nyseikatsu.com)に応募を。締め切りは4月19日(月)。当選者は本紙24日号の紙上で発表すると共に当選者本人にもEメールで通知します。

(関連記事)コロナ禍で激増する対アジア人差別の検証と対策

コロナ禍で激増する対アジア人差別の検証と対策

 昨年より頻発した対アジア系住民へのヘイトクライムは米国に住む日本人・日系人にとってもはや他人事ではなくなった。一昨年までは特に中国系の多いカリフォルニア州各都市での被害が主だったが、今ニューヨーク市で急増している。人種差別はどの国でもあるが昨今の米国に於ける対アジア系ヘイトクライムは特に悪質で危険極まりないのが特徴である。実態は人種差別的な罵声や悪態などによる嫌がらせは日常茶飯事で、暴行、投石、切り裂き、突き落とし、放火、そして殺傷に至る重犯罪行為まであらゆるレベルの事件が頻繁している。起因要素は色々あるが、やはり中国で発生したと云われるコロナウイルス騒動が一番でしょう。ご存知のよう、前トランプ大統領はまるで目の敵の様にウイルスの流行は中国が仕掛けたと攻め続けたのに伴い、そのカリスマに踊らされたトランプ支持者は全米規模で中国非難を拡大させた。それ以前にも経済や通貨政策に於いて米国にアドバンテージを取る中国が「アメリカ・ナンバーワン」を唱えるトランプ大統領とその支持者の宿敵であった事は明瞭であり、それを煽った一部ニュース報道の影響も重なり道徳心のない愚弄者や過激国粋主義者にまで蔓延すると、もはや憎悪対象が中国のみ成らずアジア系全般に向けられたのがこの度の社会現象と考えられる。当初多くの在米日本人は対岸の火事の如くこの様相を見ていたことでしょう。ヘイトクライムは憎悪犯罪と訳され色々な犯罪がある中でも特に厄介なもので、個人や特定団体に対するものとは異なり、人種や宗教が同じであるだけで、類する者全てが差別や攻撃の潜在対象になり得る。

 犯行は見知らぬ者のエモーショナルレベルから勃発するのが特徴で、自衛策が取り難くそれが情緒不安定や精神病質者のマインドセットに入ると皮肉にも伝染病の様に流行化する傾向にあり、卑怯にもお年寄りや女性への急襲が多い。被害者出身国別にみると中国、韓国、ベトナム、フィリピン系が大半を占めるが、日本人に対してもサブウェイ構内で殴打され重症を負わされるなど少なからず発生している。この様な状況下、米国在住日本人はどうやって被害者に成らぬかを真剣に考える必要が出てきた。

自己防衛対策:出来る限り複数人で行動・歩行する事で攻撃対象の可能性が減る

高齢者が標的になるケースが多いので、外出時は家族や友人の同行を常習化させる。サブウェイ待ちの最中は突き落としされないよう鉄柱内側のホーム真ん中など縁石より離れた位置で待つ。罵声や悪態を実際に受けた時、敢えて対立するのでなく「Please Don’t Do It」など明確に意思表示しながらもその場から即離れる。ホームレスなど見知らぬ者に絡まれた場合、友好的撃退方として「God Bless You」と声を掛けることで一時的状況緩和・沈静化を図れる場合が多くその場から即離れる。

護身対策:ペッパースプレーは薬局やスポーツ店などで購入でき、ニューヨーク市でも護身用として携帯可能である。不運にも差別攻撃に遭遇し身の危険が明確であれば正当防衛として使えるが、咄嗟の攻撃に対して正確に使うにはスキルが必要。YouTubeなどで使用方法を知っておくのも得策。重症となる怪我は多くの場合倒れた際に頭部を打って起こるので「セルフディフェンスの心得」があれば特殊な受け身や倒れ方で怪我の軽減を図れる。急襲され逃げる余地も無く人体の危険に晒された最終的護身手段はペッパースプレーの他に「Eye Jab(目突き)」がある。撃退で相手が怯んだら「Police」と大声で叫びながら走り去る。

 これら対策をいざという時に的確に使えるようにするには日頃の心構えと高度な練習が必要です。誤った護身法は逆に身の危険を高めることにもなります。しかしながらこのご時世護身の知識と技術は習得していたほうが役に立つことを知っておいて下さい。

橋本晃宏/セーフコリスクコントロール、防犯対策スペシャリスト、元カリフォルニア州立短大セルフディフェンス講師)


ペッパースプレー購入の条件

 18歳以上。購入にはIDの提示が必要。過去2年以内に2つを超えるペッパースプレーの購入歴がない者。全米全ての州において、重罪や暴行で有罪判決を受けたことがない者。Mace、Sabreなどのブランドが有名。販売ライセンスを持つ主な店は次の通り。

●マンハッタン

Esco Drug Company

687 9th Ave

New York, NY 10036

Tel: (212) 246-8169

https://www.escopharmacy.com/

Thriftway Pharmacy NYC

646 10th Ave

New York, NY 10036

Tel: (212) 956-1100

https://www.thriftwaynyc.com/

New London Specialty Pharmacy

246 8th Ave

New York, NY 10011

Tel: (212) 243-4987 

http://www.newlondonspecialtypharmacy.com/

●クイーンズ

Double G Pharmacy

2282 31st St Astoria, NY 11105

Tel: (718) 728-3127


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草間彌生NY展

チケット発売中
NY植物園

 92歳になった今も精力的に作品を制作し、前衛芸術家として世界中に多くのファンを持つ草間彌生の大規模展示「KUSAMA:Cosmic Nature」が、今月10日から10月31日(日)までの約半年間、ブロンクスにあるニューヨーク植物園(NYBG:2900 Southern Boulevard)で開催される。同展は昨年5月から開催予定だったが、コロナパンデミックのために延期されていた。

 NYBGの広大な敷地内に草間の代表的なインスタレーションの一つである「ナルシスの庭」や、水玉模様の黄色いカボチャ「ダンシング・パンプキン」などが展示される。

 チケットは前売りで完全予約制、入場時間指定制。入場料はガーデン&ギャラリーパスが一般35ドル、学生・65歳以上が32ドル、2〜15歳が15ドル、2歳以下とNYBG会員は無料。その他NY市民割引などもある。問い合わせは電話718・817・8700まで。チケット購入・詳細はウェブサイトhttps://www.nybg.orgを参照する。

スウエットシャツ

イケメン男子服飾Q&A 83
ケン 青木

 春分の日も過ぎ、気温も少しづつ上がり、確実に陽が長くなってきました。そうなるとまだまだコロナ禍の昨今ではありますが、健康のためにも外で散歩やジョギングをしたくなりますよね。そんな時、自然に身につけたくなるのがスウエットシャツとスウエットパンツですね。

 僕と同年代の皆さんは、おそらく「トレーナー」と言っていたかと(笑)。特に学生時代には、ボートハウス、クルーズ、バークレーなどファッション専門店のロゴが大きく胸に描かれた華やかなデザインの「トレーナー」が大流行でした。そして「体育会」ほど厳しくない、「愛好会」のテニスサークルで全員お揃いの「トレーナー」にスタジャン(これも和製英語スタジアムジャンパーの略語、英語では一般にAward Jacket)でキメたものでした(笑)。

 御存知の方もおられるかと思いますが、トレーナーとはアイビーファッションで一世を風靡したVAN JACKET INC. 通称VANの創業者、石津謙介さんの造語だと言われております。とても良く出来た造語であったので、アメリカに来てメンズショップで「トレーナーが欲しい」とお店の方に言って問題を起こした方少なくない人数と言われております(笑)。石津さんはその他スイングトップ(ウインドブレーカーのこと)も造語され、sneakersもこそドロでは良くないとsneekersに換えて靴箱に印刷させたりされています。ユニークと言いますか、石津さんの確たる哲学がおありだったのでしょう。

 東京五輪、どうなるのかなんとも言えませが、次は100年ぶりにパリで五輪。1900年、1924年に次いで3度目になりますが、映画Chariots of Fire邦題:炎のランナー、御覧になられましたか? 1924年のパリ五輪での英国男子陸上競技の選手たちの活躍を描きました。当時、選手たちはトレーニングやウォームアップの際、スウエッターsweater、文字通りセーターを着ていたのでした。

 実はパリ五輪の4年前、1920年にアメリカのRussell Manufacturing Corporationが、綿素材で表地が平織り、裏地がパイル(タオル地)のニット素材を開発したのですが、まだ広まってはいなかったのでした。綿素材なのでウールよりも洗濯など手入れが楽ですし、価格も安価。アスレチックウエアとしてアメリカから世界に広まっていったのでした。今でも大学の売店では学校のロゴマークの入ったスウエットシャツが販売されています。コロナ禍ですが、お気に入りのスウェットシャツを着ていい汗を流しましょう。それではまた次回。

 けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス・カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。

トランプ大統領令失効

ビザ面接など再開

 在ニューヨーク日本国総領事館 は、「移民及び非移民の入国の停止」に関する大統領布告(大統領令10052)の失効について次のように報じた。

 2020年6月22日に公布された非移民ビザによる米国への入国を制限するために特定の就労ビザ(H-1B、H-21B、L、一部のJビザ)の発給を一時停止する大統領令(大統領令10052)が、3月31日に失効した。これを踏まえて在日米国大使館は次の通り案内している。

●H-1B、H-21B、L、一部のJビザについて、まだ面接を受けていない、または面接予約を取っていない申請者は、現在の大使館・領事館のビザサービスの再開状況に基づき、ビザを申請することができる。

●大統領令10052の制限により、すでにビザ申請を却下された申請者は、新たにビザ申請料金を支払って再申請をすることができる。

  詳細は米国務省ウェブサイトhttps://travel.state.gov/content/travel/en/News/visas-news/update-on-presidential-proclamation-10052.html