世界のセレブの爪先を彩る日まで

社会人語学留学した日本で活躍のネイリスト

村西香美さん

 東京でネイリストとしてヴォーグやエル・ジャポンなどのファッション雑誌の写真撮影で活躍し、ニューヨークコレクションで東京から出張で来たニューヨークでの体験を生かして、さらにネイリストとしての経験を深め、自身の視野と活動の幅を広げるために2年前、ネイルスクール講師の職を辞して一念発起、ニューヨークに社会人語学留学した。

 東京で海外のモデルたちと自然に会話している先輩や恩師たちの姿を仕事の現場で間近で見て、語学力を本格的に身につけることがまずは自身のネイリストとしてのキャリアをランクアップしていく上でも乗り終えなくてはならないハードルだと実感した。世界で最も難関と言われるJNA認定講師資格や衛生管理指導員資格も取得し、ニューヨークネイルライセンスも5年前に取得。日本でネイルスクールでの講師として未経験者を育成するほか、試験官としても活動していた。海外ブランドでは、ラカン・スミス、ADEAM、KIM SHUIのブランドで活躍。この間、ヨーロピアン・ビューティーカップ・コンペティションのエアブラシ部門で3位、ミックスメディア部門3位、フレンチ部門2位を獲得するなど活躍が続いた。しかしコロナ禍のパンデミックでしばらく実家のある福井県に戻ることに。故郷の福井には、卒業した福井トータルビューティーがあり、そこでネイル、エステ、ブライダル、ヘアメイクなどをトータルに学んだ。

 面と向かってやった仕事を直接喜んでもらえるネイリストの仕事が自分に向いていると自覚した。福井の実家に帰省中、冬に外で転倒して着いた利き腕の左手の薬指を骨折してしまった。細かな作業をするネイリストとしては致命的な怪我だった。ネイリストを諦めようと思った。だが、できなくなって初めて自分はネイルの仕事が好きだということを知った。それがニューヨーク行きの決心につながった。環境を変えることで新たな自分の可能性との出会いに巡り会えるのではないかと。ニューヨークのセレブリティネイルサロンから仕事のオファーも来るようになった。まだ自分には準備期間が必要だが、NYの空気を爪の先にこめて仕事ができる日は近いと信じている。(三浦良一記者、写真も)