在留邦人の安全守る日本総領事館の仕事


アメリカに住む日本人にとって、日本との窓口となっているのが在外公館の中でも総領事館だ。ニューヨーク日本総領事館の松永直樹領事部長=写真=に、そのサポート業務内容を聞いた。
本紙 領事部はどんな仕事をしている部署ですか?
松永 日本国内ではいろいろな行政機関が担っている業務の一部を、国外では在外公館の領事が担っています。大きく分けて次の6つに分かれます。
(1)窓口行政サービス=市役所と同様に窓口があり、さまざまな届出、申請を受け付けています。在留邦人の皆様にとっては、パスポートや証明書を扱っている部署と言えば、わかりやすいかと思います。具体的にはパスポートの申請を受付け、交付。各種証明書(在留証明書など)の申請を受付け、交付、身分事項に変動があった際の戸籍・国籍の届出の受付(婚姻届、出生届など)、マイナンバーカード(※)の申請を受付け、交付など。
(2)安全対策・邦人援護〜トラブルに巻き込まれないための情報発信、トラブルに巻き込まれた日本人(本人・家族等)に対する支援〜また、邦人援護業務も領事部の重要な仕事の一つです。領事メールなどを通じた注意喚起はもちろん、被害に遭われた方のお話を伺い、アドバイスを行ったりしています。具体的にはニューヨークをはじめ、管轄地域の安全(医療・保健等を含む)に関する情報を収集し、領事メールや総領事館ホームページで注意喚起を行っています。在留届を提出済みの方、たびレジに登録されている方には、時折メールが届くと思います。また所持品の遺失、事件・事故の被害や加害、疾病(精神疾患を含む)に直面した日本人に対して、必要なアドバイスを行うほか、孤独・孤立、DV、貧困等に直面した日本人に対して、必要なアドバイスを行っています。さらに緊急事態(テロ・誘拐、大規模自然災害、内戦・騒擾、感染症の流行等)が発生した場合、日本人の安否確認を行い、また必要に応じて安全確保のための支援を行います。
(3)在外選挙〜海外在留邦人が国政選挙に投票できる制度〜日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、在外選挙人証を持っている方は、外国に住んでいても、日本の国政選挙に投票できます。対象となる在外選挙は、衆議院議員選挙(小選挙区・比例代表)、参議院議員選挙(選挙区・比例代表)のほか、衆参両議院の補欠選挙及び再選挙、国民投票、最高裁判所裁判官国民審査です。普段は、在外選挙人名簿登録申請の受付や在外選挙人証の交付を行っています。国政選挙時は、在外公館投票事務を行います。在外選挙人証をお持ちの方は、定められた期間中、在外公館で投票ができます。
(4)海外教育〜日本人学校・補習授業校等への支援〜外務省は、文部科学省や公益財団法人海外子女教育振興財団と協力しつつ、認定・指定された日本人学校・補習授業校等へ支援を行っています。学校理事会等へのオブザーバー参加のほか、要請に応じて安全講話や訓練を行うなど側面支援を行っています。また、経費の一部支援(校舎借料支援、現地採用教師・講師給与支援、安全対策支援の三本柱)をしています。日本の義務教育学齢期の児童・生徒を対象に、日本の教科書を無償で配布しており、これに関する申請とりまとめなどを行っています。
(5)査証(ビザ)=日本へ渡航予定の外国人から申請を受けつけ、その内容を精査の上、査証を発給しています。
米国籍者の短期滞在(観光等)に対してはビザは免除されますが、ニューヨークには多くの外国籍者が在留しており、こうした外国人(中国人やインド人等)からの申請も増加しています(2024年の当館の査証発給数は約2万件)。なお、2024年の訪日外国人数約3687万人(過去最多)のうち、米国からの訪日外国人は約272万人で、韓国(約882万人)、中国(約698万人)、台湾(約604万人)についで4番目に多い数となっています。
NY都市圏に邦人約3万8000人
(6)日本人・日系人社会との接点 =管轄地域内の日本人、日系人の皆様との接点として、多くの方々と平素よりお付き合いをしています。ニューヨーク都市圏には約3万8000人の邦人が居住しており、ロサンゼルス、バンコクに次ぐ世界第三位の邦人コミュニティーです。ニューヨークを始め管轄内には多くの日系人会、日本人会、さらには医療、福祉、教育、心理分野の支援団体が設立されており、こうした団体との良好な関係を構築し、邦人コミュニティーの維持発展に寄与することが当館の重要な役目の一つであり、引き続き総領事館、ひいては領事部として出来る限りのことをしていきたいと考えています。

