NY日系社会を助ける

日本人の心のケアを担う

日米カウンセリングセンター

日米カウンセリングセンターで対応する竹島さん

 私が心理療法士として勤務する日米カウンセリングセンターは、昨年もたくさんの日本人の患者さまに利用していただきました。当センターは、120年以上の歴史がある非営利のカウンセリング団体、ハミルトン – マディソン・ハウスの日本部門で、センター長の松木史(ふみ)と2人体制で、ニューヨーク在住の日本人の心のケアや精神的な問題に日本語で対応しています。私はここで働いて11年ですが、松木は1983年に日本部門が創設されて以来42年間ずっと在留邦人の心のケアをしています。

 近年心の病気が増えていると感じます。ある統計では、アメリカ人の約4人に1人が何らかのメンタルヘルス問題を抱えていると言われています。

 悩める人々の心の拠り所として気軽に受診していただける理由の一つに、幅広い健康保険に対応しているというのがあります。一般の健康保険はもちろん、海外旅行保険、メディケイドやメディケアも使えます。特に日本語のカウンセリングでメディケイドが利用できるのは、私が知る限り東海岸で当センターだけです。

 当センターを利用する患者さんは30〜70代の方々が中心で、現在85人ほどです。カウンセリングは1回45分で1週間に1、2度、2週間に1度、月1度などの頻度で通われます。私のもとには毎日4〜6人の患者さんが訪れます。コロナ禍以降、より利用しやすいオンライン診療が増えたため患者数も増えました。

 当センターを利用する患者さんの多くは主に人間関係の問題や悩みを抱えています。ハミルトン – マディソン・ハウスは精神科の医師も常駐しているため、重症患者さんも中にはいらっしゃいますが、多くの患者は家庭や職場の人間関係で悩み、ストレスを抱えています。

 AIが台頭する昨今ですが、便利な反面、深刻な問題も起こっています。AIの発展でレイオフ、就職・再就職が困難な人がジワジワ増えています。また、AIのアドバイスに頼り切ってしまい自殺をしてしまったケースもアメリカ国内であります。常に肯定してくれるAIは気分が良いものですが、子どもが利用し続けた先の未来は心配です。人って否定されて筋肉がついてくるというか、社会に出たら肯定されるだけの環境ではなくなりますから、そうなると生身の人間が耐えられなくなる可能性があります。

 生きているといろんなことが起こるけど、ちょっとしたきっかけで人生の流れって変わっていくものです。症状の軽度・重度といった度合いに関係なく、もっと多くの方に私たちのカウンセリングを利用していただき、日系社会を助ける一助になれば幸いです。(心理療法士・竹島久美子、取材・安部かすみ、写真も)

https://hamiltonmadisonhouse.org/