6月17日「在外投票を推進する議員連盟」の総会が開催されました。今回浮上した最大の課題は、河野太郎議員が指摘した「投票所における立会人による投票者の本人確認よりもマイナカードによる本人確認の方が正確ではないか」という論点です。立会人である町会長さんですら知らない人も、ハガキを持参するだけで投票できるのが今の制度で、実際に立会人が本人以外の人を発見した事例があるのかという質問も出されました。
実は現行の郵便投票も立会人不在です。海外有権者ネットワークNYの竹永浩之さんは、昨年の総選挙で在外邦人で郵便投票ができた人はこれまで最低の246人、在外郵便投票用紙の約54%の国内返送が遅れて無効になったという資料を提供しました。世界の郵便事情は悪化が加速し、減少は更に進むといわれます。
他方、2023年から開始された在外公館における「ビデオ通話による本人確認」が、乳幼児のある家庭や仕事の都合で公館に行けない人々に好評との報告もされました。
また2024年に以下が改正されました。1.在外邦人の投票申請書が外務省経由で国内の選挙管理委員会に送られていたものを、直接選挙管理委員会に送付。2.選挙管理委員会が印刷して在外公館経由で在外邦人に送付していた在外選挙人証を在外公館が印刷。これにより、これまで取得に約85日間かかっていた日数が約18日間短縮されました。最短で即日交付です!
在外ネット投票の技術的な課題についても、投票画面の表示方法、マイナカードのスマホ版電子証明書の活用、視覚障碍者のアクセシビリティ確保、と絞られてきました。
しかし、総会では逢沢一郎議連会長を含め、総務省が在外ネット投票への慎重論の根拠としてきた「立会人の不在」と「100%確実な制度の導入」という価値判断の是非も問われました。
今後は、西村智奈美事務局長のもとで、一般論での堂々巡りではなく、政府に課題項目の提出を求め、議連で詰めを行うことが決定されました。私がこの議連会長をしていた時代より大きな前進です!100%確実な制度という理由で、104万人の在外邦人の1万7000人しか投票できない実態を変えるべき時です。
投票の権利は民主主義の根幹です。
ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会長、岐阜女子大特別客員教授も兼任。