オーディションに夢託す 鵜飼優波さん

ダンサー

 ニューヨークを拠点に活動して2年あまり。平日は午前7時からのオーディションの列に並ぶ。ビデオ面接も増えてはいるが、原則はアナログな対面オーディションが毎日4、5本開催される。すべてがブロードウエーでなく、地方巡業やクルーズ客船でのショーなどさまざまだ。これまで3回最終選考まで行った。

 2歳からクラシックバレエと英語、ミュージカルを始め、これまでに『コッペリア』スワニルダ役、『レ・ミゼラブル』コゼット役、そして『Finding Neverland』を原作にした作品『Second Star on the Right』にてシルビア役を演じるなど、数々の主要キャラクターを務めてきた。

 小学生の頃からブロードウエーの舞台に立つことを夢見ていたが、「アジア人には難しいのではないか」と言われた経験があり、大きなショックを受けた。また、ミュージカル『ビリー・エリオット』を初めて観た際に、主人公が自分の好きなことに出会い、夢中になって夢を追いかけていく姿に強く心を動かされ、自分も舞台に立ちたいという思いがより一層強くなったという。

 そんな中でブロードウエーで活躍するアジア人パフォーマーの姿に触れ、「自分にもできるかもしれない」と勇気をもらったことが、今の原動力となっている。

 高校1年の時に1年間、東京都のプログラムに参加してオーストラリアのブリスベーンに近いイプスイッチという町にある現地の高校に通ってダンス、ドラマを選べたのが新鮮だった。海外で生きていきたいという気持ちになったのはこの時だった。2023年にニューヨークのミュージカル学校アメリカン・ミュージカル・アンド・ドラマチック・アカデミー(AMDA)に合格し、歌・ダンス・演技を本格的に学んだ。

 現在はニューヨークを拠点に、グリーン・ルームでのキャバレー出演や、ブロードウエー作品のオーディションに挑戦し、最終審査に進むなど、舞台を中心に活動している。

 将来は、ブロードウエーで活躍する数少ない日本人パフォーマーの一人として、同じように夢を追う人やマイノリティの人に「あなたにもできる」と勇気を届けられる存在になりたいと考えている。「かつて自分が背中を押してもらったように、今度は自分が誰かにとってのその存在になれるよう、これからも挑戦を続けていきたい」という。   (三浦良一記者、写真も)