浅野忠信主演  NYAFFで「レイブンズ」上映

北米最大アジア映画祭
第24回NYAFF開催

 北米最大のアジア系映画祭である第24回ニューヨーク・アジアン映画祭(NYAFF)は今年で24回を数え、11日からリンカーン・センターをメイン会場に開催されている。閉幕は27日。

 毎年、アジア各国から人気俳優や映画監督などがゲストとして招かれ、映画祭を華やかに盛り上げている。今年は、マーク・ギル監督の「Ravens レイブンズ」で伝説の写真家・深瀬昌久を演じた浅野忠信氏(51)が、ゲストとして招待された。

 浅野氏は、今年開催された第82回ゴールデン・グローブ賞で、話題のドラマ『SHOGUN 将軍』における演技が評価され、テレビドラマ部門・助演男優賞を受賞した。言うまでもなく、世界的な人気を誇る日本人俳優のひとりだ。(菊楽めぐみ、写真 ©Jeremy Li)

写真:NYFAAの記者会見でマーク・ギル監督(左)と俳優・浅野忠信(20日、リンカーンセンターで)

伝説の写真家演じた浅野

「待ち時間は絵を描いた」

 ニューヨーク・アジアン映画祭(NYAFF)では、浅野氏が伝説の写真家・深瀬昌久を演じた、マーク・ギル監督の「Ravens レイブンズ」が上映された。被写体でもあった妻・洋子との50年にわたる愛憎の関係を、実話とフィクションを交えて描いている。上映前には、RAVENS: IN CONVERSATION WITH TADANOBU ASANO AND MARK GILLが開催され、マーク・ギル監督、浅野氏、撮影監督のフェルナンド・ルイスが登場し、ネタバレしないように撮影秘話を語り、しかも観客からの直接の質問に答えた。また本編上映後、監督と浅野氏がステージに登場すると、大きな歓声が上がった。観客の興奮冷めやらぬなか、Q&Aセッションが行われ、2人は観客からの質問にも丁寧に答えた。

© Vestapol Films, Ark Entertainment, Minded Factory, Y house, Katsize Films

 ギル監督と浅野氏の両氏は上映前に本紙のインタビューに応じた。浅野忠信氏をキャスティングした理由を問うと、監督は一作の映画の名を挙げた。

 「三池崇史監督の「殺し屋1」(01年)で、浅野さん演じる垣原雅雄に出会った瞬間、恋に落ちました。言葉を話さなくても内面から発する表情や姿にです。それは私だけでなく皆さんも同じはず。ずっとキャリアを追いかけていまして、このプロジェクトが立ち上がった時、浅野さんしか浮かばなかった」。

 俳優として知られる一方で、個展を開いたり画集を出版したりと、絵描きとしての顔も持つ浅野忠信氏。過去のインタビューで、撮影の待ち時間で描いていると語っていたが、「『レイブンズ』の撮影中は何を描いたのか」と聞くと「鴉を描いた覚えがあるが、描いた絵はインスタにアップしているので見てください」。

 ギル監督は15年イギリスの新聞記事で深瀬昌久を知り「鴉」に衝撃を受け、脚本を書き、9年かけて映画化。同世代の荒木経惟や森山大道は有名だが、日本ではほぼ知られていない写真家だった。

 深瀬(昭和9年生まれ)は、1974年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された、日本の写真家を世界に初めて紹介した写真展『New Japanese Photography』に、土門拳や東松照明、奈良原一高、森山大道と共に参加した。身近なモチーフである妻・洋子の写真を展示したことで話題を呼んだ。たびたび酒に溺れ、1992年転落事故で脳障害を負い20年の闘病の末、2012年亡くなった。代表作「鴉」は世界的評価を受け、セルフィーの先駆者とも称される。

 本作では妻の洋子を瀧内公美が演じた。今年3月日本全国劇場公開された。キャンセル待ちの列ができるほど大人気だった。(菊楽めぐみ、写真・ ©Jeremy Li)