Jオーケストラ カーネギーの聴衆魅了

入場者2751人でほぼ満席

 日本の医療従事者を中心に構成された交響楽団「Jオーケストラ」のコンサートが18日夜、カーネギーホール大ホール(定員2790)で行われ、5階バルコニー席まで2751席以上を埋めるほぼ満席の観客を魅了した。医学のバックグラウンドを活かし、音楽を通して社会に良い影響を与えるための地域社会へのアウトリーチ活動としての初の海外公演は大成功を収めた。

 Jオーケストラ総勢101人によるエルガー作曲の行進曲「威風堂々」第1番で始まった演奏は、前半ベートーベン作曲 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノ仲道郁代、後半はドボルザーク作曲 交響曲第9番「新世界より」、アンコールとしてシベリウス作曲交響詩「フィンランディア」が披露され、フィンランディアの合唱は、ニューヨーク在住日系合唱団有志メンバー60人が担当した。指揮は柳澤寿男。コンサートマスターは、桐朋学園芸術短期大学特任教授のバイオリン奏者、志村寿一。司会は元フジテレビアナウンサーの坂本祐祈さんが務めた。

演奏終了後に山 国連大使夫妻、NY総領事の森大使から
慰労の言葉をかけられる演奏者たち

 実行委員長の宮坂厚弘氏は「こんなに大勢の皆さんが来ていただけるとは想像もしていませんでした。準備は大変でしたけど自分たちでできるだけのことをやり遂げたという気持ちでいっぱいです」と感無量の面持ち。

 指揮した柳澤氏は「カーネギーホールでやれたことは音楽家として光栄なこと。医療従事者の演奏家の皆さんもお医者様なので急患が入ったりして大変でしたが、社会的な意味のあるオーケストラだと思います」と公演後に感想を述べた。ピアニストの仲道さんは「医療と共に音楽に携わる方々の想いが音になりコンサートでご一緒でき本当によかったと思います。カーネギーホールの伝統と歴史に特別な思いを持った」と語る。ピアノはNY五番街のヤマハからグランドピアノが特別にカーネギーホールに運び込まれた。

 ニューヨーク総領事の森大使は「音楽としての素晴らしさはもちろんだが、皆さんがニューヨークに来て、ニューヨークで心を一つにするために楽しい音楽を奏でていただいたということを私自身とても感激し、ステージで演奏している人たちと共に楽しむことができた。本当に素晴らしい夜だった」と感想を語った。

 山﨑国連大使は「感激しました。人間の美しい面が全開という感じでした。本当に国境を超えて素晴らしい芸術を聞けて、見せていただいた。国境を超えて美しいものに触れたと同時に、日本文化の底深さというものも感じられたのではないかと思う」と話していた。一般観客からは「迫力があって、楽しいひと時を過ごしました。ものすごく練習したのだと思います。出演者も聴衆も一つになって、日米の文化交流に尽くしました」「指揮者と演奏家の音楽に対する真剣な取り組みが胸を打つものでした」と言う声が聞かれた。コンサートは無料公演で行われた。(写真・三浦良一)