日本食レストラン協会設立

コロナ後の復帰まず支援

 ニューヨーク日本食レストラン協会(NYJRA)が4月17日付で正式な非営利団体(NPO法人)として設立した。3日同協会が発表した。目的は、米国における日本食教育、人材育成、日本食技術向上、および様々な問題解決を行い、日本食市場の活性化と日本食文化の普及を通じて日本食の一層の発展と復興に寄与すること。レストランだけでなく食品商社や関連企業も参加し、「日本食」を軸に横の連携を重視した団体がニューヨークにできるのは初めて。当面の課題としてまず新型コロナウイルス後のビジネス再開を支援していく。 

 コロナ対応として、従業員の給与保護プロジェクト(PPP)や店舗の家賃交渉、労務・人事に関する問題に取り組む。これまでウェビナーを4回開催している。協会は13人の理事、6人のアドバイザーで構成され、日本食レストラン、食品商社、食品メーカーといった企業会員およびキッチンウェアやテーブルウェア関係の賛助会員が加わり、4日現在会員数は約80社、157人。

 ニューヨーク州では、コロナウイルス感染拡大により3月から店内営業が禁止になってきたが、郊外は今月中旬から順次屋外サービスから再開。レストランはこの約3か月間、テイクアウトやデリバリーで乗り切ろうとしてきた店が多いが、マンハッタンでは家賃負担を賄える収入にはほど遠く、解雇した従業員の再雇用にも苦労している。解雇された従業員の中には、失業保険給付金を継続して受けていた方が当面の生活が安定すると考える者もいるためだ。初代会長にはTICグループ代表のボン八木さんが就任した。

助け合って日本食
雇用や家賃の問題共有

 ニューヨーク日本食レストラン協会(NYJRA)は6月3日付でニューヨーク市のレストラン関連組合であるニューヨークホスピタリティアライアンスと正式に協業すると発表した。今後同組合と連携しつつ、レストランビジネス再開に向けてニューヨーク市や衛生局と折衝を始めていく。

 NYJRAの初代代表に就任した八木会長は「もともとこの協会は、ニューヨークで日本食、寿司ブームになって多くの日本食レストランができたことから、正当な日本食文化の伝統を守っていきたいという趣旨から始まった構想で、JRO(日本レストラン海外普及推進機構)の協力もあり設立されたものだ。アメリカで寿司職人がゴム手袋をして寿司を握るのはやっぱりおかしい、むしろ不衛生だと訴えて、寿司手袋廃止への理解をニューヨーク市の保健所に訴えていくのが当初の目的だったが、設立前にコロナの問題が起こってしまい寿司手袋廃止を今訴えるのはタイミング的に合わないので、長い目でそれはやっていくとして、まずはコロナ後のビジネスの立ちあげを情報提供と共有という形で支援して行きたい。レストランのオープンも、座席との間隔を6フィートにすればいいのか、客席を半分にすればいいのか、それともその両方なのか、まだ当局から具体的な指示がなく、レストラン側も対応がわからない状態。複雑なPPP(給与保護プログラム)も業界として情報を共有して助け合っていきたい」と話している。

 活動の主な内容は次の通り(1) 日本の食・食文化、フードサービス産業を含む技術に関する調査研究並びに促進事業(2) 日本の食・食文化の進歩発展の為の料理人教育および人材育成事業(3) 日本食・食文化国際交流推進に関する事業

(4) 日本産食材、日本食レストラン普及等に関する事業。輸出促進等に関する調査研究及び輸入販売促進PR事業等(5) 日本食レストラン関連に関する共通問題等の解決(6) 立法・行政機関に対する提言および行政施策の実施に関する協力(7) 日本食衛生管理の向上等に関する事業(8) 会員相互間の交流を図り情報交換および食品食材に関する勉強会セミナー等(9)日本食流通商社などの連携をとり輸入品規制なの関する情報提供及び日本食レストランとの連携による相互間を通じた情報交換等の事業(10) 米国国内における外食産業・食文化団体・料理学校との交流および日本調理課程の設置支援(11) 日本食材や日本産に関する商品及び日本の飲料、アルコール等(日本酒・焼酎・泡盛・ウィスキー等)を含めた日本の食文化にまつわる広報活動(12) 米国フードサービス産業および食品生活向上における情報収集、提供、調査、教育、および広報(13)フードサービス産業に関する経営改善等の事業等の実施(14)消費者に対する啓発宣伝。

 その他事業、目的を達成するために必要な事業として(1)日本食レストラン等に関する情報管理(2)ホームページ等企業情報掲載と管理(3)ホームページ広告掲載(4)日本食普及に関するセミナー及び研修会、展示会などの支援(5)書籍出版。会員も募集している。https://www.nyjapaneserestaurant.org


役員  会長・ボン八木、書記長・馬越恭弘、財務・市原千香子、理事・好田忠夫、本庄洋介、若山大木、鈴木誠、武井泰、鎌田エル浩次、飯盛一貴、園力(ソノ・チカラ)、デレク・ウイルコック、中西亜美、アドバイザー・大西ジョシュ、櫻井本篤、中島孝明、加藤一隆、二宮くみ子、ジョン・マッカーシー。(敬称略)