その8:そうだ!この冬はサンタフェに行こう!

魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」をフォーカス

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは! 1年も早いものでもう11月ですね! 季節の変わり目、皆さんはお元気でお過ごしでしょうか。この歳になると本当に1年が過ぎるのはあっという間です。極端な言い方をすれば半年の感覚(間隔?)もない程スピーディーに時は刻まれますよね。なぜ子供の頃はあんなに1年が長かったのだろう? 毎年この時期に思い出す自問自答です(笑)。毎月冒頭は天気の話で恐縮ですが、11月になってやっと気温も落ち着き、晴れの日が多くなった東京です。長くカリフォルア州で過ごした筆者としては、四季に対して身体の準備が出来ておらず、東京に住んで2年半ぐらいになりますが、まだ慣れません。とはいえ。紅葉シーズンは年々遅くなっていますし、桜は早めに咲くようになりました。四季という概念が少しずつかわりつつあるのかもしれません。
 さて、今月の魅惑の旧街道を行くシリーズのシーズン③ 第8話は、このシリーズで何度も名前が出てきますが、筆者の「故郷」でもあるニューメキシコ州サンタフェについて、これからのクリスマスシーズン、または年末年始の小旅行等にタイムリーなトラベルネタをお届けしたいと思います。なお、ルート66とサンタフェの関わりについてはシーズン③ 第3話、グリーンチリにまつわるお話で触れています。今月は割愛しますので、是非「週刊NY生活デジタル版」の過去記事でご検索ください。
 もはや皆さんもよくご存知の通り、サンタフェはニューメキシコ州北部に位置する同州の州都であり、人口は約7万人と言われています。アメリカ合衆国建国より遥か前の1607年に創設された長い歴史を持つ都市で、合衆国に現存する都市としてはフロリダ州のセントオーガスティン(1565年創設)に次いで古いのですよ。「魅惑の州」とも異名をとるニューメキシコ州の中で、「アメリカの宝石」と呼ばれるサンタフェは歴史的な街並みや建築物を数多く残し、独特の芸術、食文化を持つ観光都市として栄えています。そんななか、ニューメキシコと聞くと「砂漠」を想像する方も多いと思います。もちろん州全体としては決して間違った認識ではないのですが、ことサンタフェに関して言えばその立地から、どちらかと言えばロッキー山脈の南端、という方がしっくり来ます。夏場の気温は30度越えも珍しくない反面、冬は基本マイナスの中での生活を余儀なくされ、摂氏0度もあれば「結構暖かい」と感じるのが現実的なところです。 
 つまり…そうです、サンタフェはスキーリゾートとしても隠れた名所なのです! 気合の入ったスキーヤーの皆さんには珍しくない場所ですが、この事実を結構知らない人が多いようで。この辺りでスキーと言えば、Vailや Beaver Creekに代表されるコロラド州がトップ人気ですが、何せ高い! もっと安価に充分楽しめるところがサンタフェなのです。
 サンタフェの街より車で30分も走ればそこは銀世界。ご家族旅行にぴったりですね。また、このエリアには「萬波」とホームページで書かれている「Ten Thousand Waves」というスパ&温泉があるのも魅力。日本の温泉文化に大きく影響を受けたイタリア移民マウロ一族が1981年から始めたこのビジネスは毎年口コミで人気が広がり、96年にはNYタイムズ紙で記事になったぐらいです。温泉はもちろん、マッサージサービスや居酒屋をモチーフとしたレストラン、宿泊用客室まで、まさにちょっとしたリゾート気分を味わうこともできるのですよ! 是非ホームページをチェックしてみてください。
 このようにサンタフェでは観光が街の経済を支えている重要な産業であるため、街を挙げてイベントの誘致や治安対策の強化等に務め、通年を通して多くの観光客を惹きつけていますが、観光の中心となっているのはやはりダウンタウンの歴史地区、特に総督邸に隣接する「プラザ」と呼ばれる公園周辺です。この地域には人気レストランが数多く立ち並び、有名シェフの料理を目当てに訪れる観光客も多いです。筆者のおススメを挙げれば、プラザ周辺にはShed、Tomasita’s、そして大人気の Caf�Pasqualなどの伝統的なニューメキシコ料理レストラン、ちょっとお洒落してお出かけするにピッタリなContemporary Global Cuisineと呼ばれる、Compound Restaurant、Geronimo、Coyote Cafe、そしてFuegoなどでしょうか。
 また、ダウンタウンの南には、博物館・美術館が集中するミュージアム・ヒルや、アートギャラリーがこれでもかっ! と建並ぶキャニオン・ロードも観光の目玉となっています。サンタフェ観光のベストシーズンは9月中旬と良く言われますが、冬は異なる意味で最高です。クリスマス・シーズンには街がFarolitosと呼ばれる特有の紙製の灯籠で飾られ、特にキャニオン・ロードでクリスマス・イヴに催されるファロリート・ウォーク(Farolito Walk)は一生に一度は経験すべきものではないでしょうか。
 さらにサンタフェから日帰りで行ける近郊の名所として北へ約110キロ、ユネスコの世界遺産である「タオス・プエブロ」や、カジノで遊びたい方には郊外にバッファロー・サンダー・カジノリゾート(ヒルトン系)もありますよ。
(後藤 敏之/ルート66協会ジャパン・代表、写真も)