TYOドワーフの篠原健太さんADC若手賞でダブル受賞の快挙

トロフィーを手にする篠原さん(21日、タイムズスクエアで)

日本のコマ撮りアニメ高評価

 広告制作会社ティー・ワイ・オー(TYO、本社:東京都、早川和良社長)のアニメーター、篠原健太さん(30、ドワーフ所属)が、若手対象の国際賞ともいえる「NY ADCヤング・ガンズ17」賞を世界45か国500人の応募の中から日本人で唯一受賞し、さらに受賞者28人の中から一般投票のトップのみに与えられる「クリエイティブ・チョイス・アワード」にも選ばれるダブル受賞の快挙を果たした。篠原さんは、11月20日にニューヨークのソニーホールで行われた受賞式でアワードを受けた。
 同賞は、30歳以下、また2年以上の実社会経験のある若手プロフェショナルを対象とした国際賞で、1996年に世界最古の広告賞「ADC賞」を主催する 広告美術団体「アート・ディレクターズ・クラブ(ADC)」によって創設された。
 篠原さんは「人形をセットの中で動かして制作するコマ撮りは、現実に一度3次元に物体が存在したものを撮影して2次元の映像に戻すので、初めからCGで動線を計算して描いた絵よりもリアルな強いエネルギーを持っていると感じる。1秒12コマから24コマで撮影して1日10秒も撮影できたらかなり進んだ方。作家が作ったキャラクターを生きたように動かす。その世界観を表現し、命を与えるのが僕の仕事。受賞したことで自分自身の大きな自信になったのはもちろんだが、ダブル受賞は日本人で初めてということもあり、日本のストップモーション業界全体が盛り上がってくれたら嬉しい」と喜びを語った。
 篠原さんは1989年7月18日愛媛県生まれ。大阪芸術大学附属大阪美術専門学校キャラクター造形学科アニメーション専攻在学中に制作した「ニワトリ物語〜育む時の中で〜」が第9回飛騨国際メルヘンアニメコンテストで子どもメルヘン大賞を受賞。現在プロとしてデビューして3年。最初は同じ職場の大先輩で篠原さんが師匠と崇める峰岸裕和さん(NHKキャラクター『どーもくん』シリーズのアニメーションを担当)のアシスタントとしてスタート、3次元のストップモーションを一から学んだという。
「人間や動物の動きを注意深く観察しますが、リアルなだけでは面白さがない。そこに面白さを加えられるのかを常に考えています」と語った。(三浦良一記者、写真も)