日本の象徴的な前進
「現実的には厳しい舵取り」
第104代高市早苗内閣総理大臣
激動期迎える日本の政治
高市首相が、より中道的な公明党との連立協定に代わり、保守的な日本維新の会との連立協定を成立させたことは、新政権に一時的な安定をもたらすでしょう。しかし、彼女は少数与党を率いるという厳しい現実に直面しており、新たな連立パートナーである日本維新の会に対して、おそらく守れないであろう公約を掲げてしまった。これには衆議院の定数削減や政治資金規正法の改正が含まれるが、いずれも自民党内で強い反対に直面している。
自民党の支持率低下、野党間の協力不全、そして参政党のような右派ポピュリスト政党の台頭が、極めて不安定な政治環境を生み出すだろう。高市内閣の短期的な見通しはどうあれ、日本の政治は10年以上見られなかったほどの激動期を迎える。明らかなのは、自民党が政治システムの重心を占めていた時代が終わりを告げ、新たな複数政党制によるよりダイナミックで競争的なシステムへと移行するということだ。(ジェラルド・L・カーティス、コロンビア大学政治学名誉教授)
相当な政治的手腕発揮必要
日本初の女性首相誕生は歴史的意義を持つ一方、より深い政治的背景が存在する。高市早苗氏は5年余りで4人目の新首相であり、草の根ポピュリスト政党の台頭、自民党・公明党連立政権の過半数喪失と分裂という日本政界の地殻変動の中でその職に就く。高市首相にはハネムーン期間と国際的な注目が集まるだろうが、閣僚経験が比較的浅く所属政党も苦戦する中、彼女の政治的英雄である安倍晋三とマーガレット・サッチャーが享受したような長期政権を維持するには、相当な政治手腕を発揮する必要がある。(ポール・シアード、『The Power of Money』(マット・ホルト・ブックス刊)著者)
リーダーシップ重要な指標に
日本初の女性総理大臣として高市早苗氏が選出されたことは、政治的立場や状況を超えて祝福すべき歴史的な出来事です。国内外で政治的に極めて繊細な時期にある今、彼女のリーダーシップは日本の強靭さと国際的評価を示す重要な指標となるでしょう。安倍晋三元総理の後継者として選ばれた高市氏が、安倍氏の第2次政権のように党内と国民をまとめ、日本の地位をさらに高めていくことを期待しています。アジアの首脳会議やトランプ大統領との会談などを控え、今週は彼女にとって極めて重要な一週間となります。成功を心から願うとともに、来年の国連総会の際に、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで日本を代表する彼女をお迎えできる日を楽しみにしています。(ジョシュア・W・ウォーカー、ジャパン・ソサエティー理事長)
在外選挙のネット投票、高市新政権に実現期待
海外有権者ネットワークNY
高市新政権が日本で発足したことで海外の在留邦人の今後の在外選挙制度にどのよう影響が考えられるのか海外有権者ネットワークNY共同代表の竹永浩之さんは次のように語る。
「高市政権が発足して私たち海外有権者ネットワークが注目してるのは『同政権下で在外投票問題は改善されるのか』という点だ。同制度改革に必要な方策は『在外選挙人登録のオンライン化』『在外ネット投票』の2つ。高市政権はこれらを実現することができるのか。総務大臣に就任した林芳正氏は外務大臣時に在外ネット投票の実現を求める署名を受け取り、『登録のオンライン化』『在外ネット投票化』共に賛成派だ。選挙制度の担当大臣として期待できる。一方、高市氏はネット投票導入消極派。ただそれは国内も含めた場合で、在外ネット投票に関してどう考えてるかがまだ見えない。高市氏は在外選挙人登録の出国時申請を法制化したときの総務大臣でもあり、在外投票制度が多くの問題を抱えてることは分かってるはずだ。ちなみに今回閣外協力することになった日本維新の会は在外ネット投票導入賛成派なのでポジティブな政治的化学反応を期待している」。
男女平等への道のり依然として長い
NYタイムズ紙
19日付ニューヨーク・タイムズ紙は、高市首相就任2日前の紙面で「日本で女性初の首相誕生は日本の女性に何をもたらすのか」と題する記事を掲載した。長年にわたり女性が政界や経済界で過小評価されてきた日本社会において、高市氏の就任が「歴史的転機」となる一方、実際に女性の地位向上につながるかは不透明だと指摘した。
高市氏はマーガレット・サッチャー英元首相を敬愛する保守派政治家で、今月の自民党総裁選で男性候補4人を破り新総裁に就任。支持者は「男性中心社会を打ち破る象徴」として評価する一方、活動家や学者は「保守的な政策が女性の社会進出を妨げてきた」と懸念を示すと報じた。
また記事によると、日本の衆議院における女性議員の割合は約16%で、国際議会同盟の調査では183か国中141位。昨年の総選挙で女性当選者は過去最多の73人だったが、現内閣で女性閣僚はわずか2人にとどまり「真の男女平等への道のりは依然として長い」と結んだ。

