王様はいらない NYで大規模抗議デモ

 米国各地で展開された抗議運動「No Kings protests (October 2025)」の一環として18日、ニューヨーク市でも大規模なデモが行われた。午前11時、主会場となるタイムズスクエア47丁目から抗議デモが始まり、そこからマンハッタン内のブロードウエーをデモ行進する形を取った。

 警察発表では、ニューヨーク市内5区すべてを合わせて10万人以上 が参加したとされている。デモは警察との衝突もなく、終始平和的に行われ、タイムズスクエアを中心に移動して午後には多くが解散した。

 このデモのサブタイトルでもある「No Kings(王様はいらない)」は、主にトランプ大統領と政権に対して、「王様的」「専制的」「民主主義を脅かす」と参加者が感じているリーダーシップの傾向に抗議する意味合いを持っている。掲げられたプラカードには「We don’t bow to billionaires(私たちは億万長者にひざまずかない)」「No Crowns, No Kings(王冠も王様もいらない)」などの文言が見られた。背景として、連邦政府の一時的閉鎖や、移民・治安・国家守備隊(ナショナルガード)などの内政・法執行に関わる議論が参加者の危機意識を高めていた。

 トランプ政権に対する抗議デモは、政策に対する国民の不満や危機意識に動機があるため、アフリカ系米国人男性が警察官によって殺害された事件に端を発するBLM(ブラック・ライブズ・マター「黒人の命も大切だ」)運動の時の激しい怒りとは異なる熱量だが、トランプ政権がスタートして10か月の間に様変わりした移民政策や対外貿易追加関税による社会の分断を色濃く反映したデモ行進となった。会場では団体「ファシズムを拒否する集団」 が11月5日、ワシントンDCで大規模な非暴力抗議を開始すると呼びかけてビラを配布した。主催者側の言葉では、「この政権を追放するまで続く」など比較的過激な表現が使われていた。ニューヨーク日本総領事館が不要不急の外出を避けるよう注意喚起していた。  (写真・三浦良一)