新学期前の8月統計
連邦政府のデータによると、米国の大学の新学期直前の8月、米国に到着した留学生の数は約20%減少した。この減少は6月と7月の小幅な落ち込みに続くものだが、8月は通常、留学生の到着数が最も多くなる時期。今年は31万3138人の学生が留学ビザで到着した。昨年、米国には約110万人の留学生が在籍し、授業料収入に依存する大学にとって重要な収益基盤を形成していた。連邦政府の財政援助の対象外であるため、留学生の大半は全額を自己負担しており、多くの教育機関にとって重要な収入源となっている。
背景にはビザ遅延と渡航禁止令がある。今年度からの留学を計画していた多くの学生がビザ取得の障害に直面した。5月下旬、国務省は留学生向けビザ面接の予約受付を一時停止。6月に発表された渡航禁止令はさらなる不確実性を加えた。この禁止令は19か国を対象とし、その大半はアフリカ、アジア、中東の国々だった。これにより、アフリカからの到着者数が 33%減、 中東からの到着者数が17%減、アジアからの到着者数が 24%減となり 米国への留学生最大供給源であるインドからは45%減となった。米国における全外国人留学生の約7割がアジア系で占めており、アジア系全体では24%の減少となった。3人に1人がインド系、5人に1人が中国系となる人種構成になっている。
日本の海外留学協議会(JAOS)の調査で今年の統計記録はまだ発表されていないが、2024年の日本人留学生数(JAOS加盟の留学事業者ベース)は、前年から 4246人増の7万253人と、コロナ前(2019年)比で約 90 %まで回復。ただし、そのうち米国への留学は、前年比で約2000人減少 しており、留学先ランキングでも米国は1位から2位に後退している。
海外へ行く日本人留学生自体の数自体は増えているため、留学先として米国を敬遠する傾向が出ているものと見られる。
今後の見通しとして専門家は、留学生数の持続的減少が米国の科学技術分野における競争力を低下させると指摘する。理系博士号取得者の約4分の3は卒業後も国内に留まり就業しており、米国の博士号取得科学技術者の40%超が国外出身者だ。新たに導入されたH1B就労ビザの10万ドル申請料は、STEM分野人材の流入をさらに減少させる見込みだ。

