女性初首相へ期待感 高市自民総裁に米主要紙の論調

 自民党は10月4日、保守強硬派の高市早苗氏(64)=写真=を新総裁に選出し、米主要メディアは一斉に「史上初の女性首相誕生が確実に」と速報する一方、その政策色と国際的影響を強調する論調が目立った(以下各紙はロイターを除き4日付け電子版)。

 CNNは速報性を重視し、高市氏の当選を「女性初の指導者誕生」として大きく扱うと同時に、対中国姿勢の強硬化や移民政策の厳格化といった国内外での波紋に触れた。

 ニューヨーク・タイムズは「マーガレット・サッチャーに影響を受けたと語る保守派議員」として紹介した。日本初の女性首相となる予定だが、「男女平等の推進に十分な努力をしていないと一部から批判されている」と指摘した。高市氏の台頭は、「自民党は過去1年間の選挙での敗北を経て変革を求められており、また、拡大している右翼勢力に対抗しようとする試み」でもあると分析。中国の軍事的・経済的影響力拡大への取り組みを強く批判し、日本に対し防衛力強化を強く求めてきたとした。ただし、毎年行っていた靖国神社参拝については、総裁選勝利後の会見で「今後適切に判断していきたい」と慎重姿勢になったことを報じた。経済政策では低金利と広範な政府支出を組み合わせた政策「アベノミクス」への回帰を強く支持してきたことを紹介した。

 ワシントン・ポストは、高市氏が「男性優位で家父長制が根強い日本で初の女性リーダーとなり、公職における最も高いガラスの天井を打ち破った」と報じた。高市氏を「保守強硬派」「ナショナリスト」とした上で、「高市氏は日本の政治を右傾化させるだろう」と予測。「『ジャパン・ファースト』の外交政策を強調しており、米国との関税交渉について合意に不平等な面もあると批判している」と指摘した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは「貿易・安全保障をめぐる米国との摩擦の中、日本初の女性首相誕生へ」との見出しで、経済・金融面に注目し、高市氏の積極的な財政拡大志向や日銀の金融政策との軋轢の可能性を指摘。米国の投資家が政策の不確実性をどう評価するかが焦点になると伝えた。 

 ロイターは5日付けで「サッチャーに触発され、日本の次期首相の高市氏がガラスの天井を打ち破る」と報じた。彼女の新内閣人事や幹部起用の動きを速報し、党内結束と対外姿勢の整理を次期課題に挙げつつ「女性初の首相」という歴史的意義と実務上のハードルを両面から伝えた。市場は即座に反応し、円安・株高という“タカイチ相場”の動きも報じた。

 総じて、米主要紙は「歴史的な一歩」を評価しつつ、高市氏の経済・安全保障政策が日米関係や地域の安定に与える影響、そして国内での実行力に懸念を示す報道が目立った。トランプ大統領は6日、自民党総裁に選出された高市早苗氏について、自身のSNS、トゥルース・ソーシャルに「日本は初の女性首相(原文のまま)を選出した。彼女は非常に尊敬される人物であり、深い知恵と強さを兼ね備えている。これは素晴らしい日本の国民にとって、大変喜ばしい知らせである。皆さん、おめでとうございます!」と投稿した。