アベマリアの大合唱 風の環コンサート

 今年で第12年目となる風の環コンサートが11日夜、アッパーウエストサイドのカウフマン音楽センターで開催された。ソプラノの田村麻子が出演。田村と言えば数々の著名な作曲家のアベマリアをその抜群の歌唱力で歌いこなすことで知られるが、今回も風の環コンサートでカッチーニやシューベルトのアベマリアなど数曲を披露した。
 同コンサートは毎年被災地からアーティストを招待しており、今年は東日本大震災で壊滅的な被害にあった東松島から男声4人組のカルテット「ハラハラシンガーズ」=写真右下=が出演。ダークダックスを思わせる同グループ、宮城県内のイベントはじめ日本各地で演奏しているが、海外での演奏は今回が初めて。
 またニューヨーク在住の若手ピアニストとして注目されている三原有利加も今回、風の環デビューし、ショパンの名曲を繊細なタッチで弾いた。
 ニューヨークを拠点として活躍するプロの若手弦楽演奏家たちで1昨年に組織された「風の環室内アンサンブル」が今年も登場。クラシックだけでなくタンゴの名曲を披露した。
 コンサートのホストは例年通り、ジャパン・コーラル・ハーモニー(白田正樹音楽監督)と風の環少年少女合唱団。総合司会は我謝京子さん。チャリティーとして集まった寄付金2128ドル68セントが被災者の子供の視線で復興の状況を伝える「石巻子供日々新聞」に贈られる。
 米同時多発テロで一人息子の陽一さんが犠牲となった住山一貞さん夫妻が客席に。住山さんは「台風で飛行機が30時間遅れて同時多発テロの慰霊式典に参列した。昨年よりも人は多かったが、日本人犠牲者の遺族は私たちだけだった。日本を代表するような気持ちで式典に参加した。セレモニーは緊張するが、こうやってそのあとに毎年音楽会に呼んでもらってコンサートを聞くと心がほっとする」と演奏後話していた。