存廃の岐路に立つ馬車 公園管理局が廃止条例に賛同

 非営利団体セントラルパーク管理委員会は12日、同公園内の馬と馬車の走行を禁止する「ライダーズ」法案を支援することを発表した。観光客向けに100年以上の歴史がある名物馬車については、動物愛護の観点や安全性を懸念し、廃止をめぐり長年議論されている。同「ライダーズ」法案はNY市議会に来年6月までに廃止の決定を求めている。これまで中立の立場をとってきた同委員会が馬車廃止条例案に賛同を示すのは今回が初めてとなる。

 同委員会のベッツィー・スミス委員長はエリック・アダムスNY市長とエイドリアン・アダムス議長に宛てた文書で「年間の利用者数4200万人と馬車68台のバランスを保つのは難しい」とし、混雑し共有スペースが広がった現状に馬車走行は適さないと伝えた。近年は、入園者に加え電動自転車、電動スクーターの走行も増え続けている。最近では今月5日午後、セントラルパークから厩舎に戻る途中だった雌馬がヘルズキッチンの路上で倒れ、その後死亡が確認された。今年5月には、馬車から逃れていた馬が公園内を駆け、2台の馬車が衝突する2件の事故が発生した。

 一方、馬車御者を代表する運輸労働者組合は同委員会の指導を「貴族的な集団」とし、約200人のブルーカラー労働者の職を奪い、造園家フレドリック・ロー・オルムステッドが1850年代に設計した同公園の一部を汚すことになると批判している。また安全に関する事故はまれで、馬走行を原因とする歩道の損傷の指摘は誇張しており、同公園の実際の脅威は危険な速度で走行する電動自転車や電動スクーターの方だと反論している。現時点で、同市議会議員51人のうち19人が同法案に賛同しているが、昨年以降、同法案についての審議は行われていない。

 観光客に人気の高い馬車も最近は音楽を出しながら縦横無尽に走る自転車タクシーに客を奪われており、馬車は存廃の岐路に立つ。