ココナツオイルのバターで米国進出 荻野みどりさん

BROWN SUGAR 1ST社
代表取締役 社長

 「わが子に食べさせたいかどうか?」を基準に食材を厳選する食品ブランドBROWN SUGAR 1STを日本で経営している荻野みどりさんは、ココナツオイル製品で、首都圏を中心に成城石井、KINOKUNIYA、ヨーカドーなどミドルからアッパーの食料品店を中心に全国約3000店に商品を卸す女性起業家だ。

 東京・青山のファーマーズマーケットで菓子店を2011年に創業以来、ココナツオイル由来の食品やスナックでビジネスを成長させ、今年8月にはフィリピン産有機ココナツを使用したヴィーガンバター「Better Than Butter」を乳製品大手のタカナシを販売パートナーとして業務用先行で発売。全国から引き合いが殺到している。東京に本社を置き、昨年10月に資金調達を完了し、今年1月にニューヨークに米国現地法人を設立、ミッドタウンにオフィスを構え、自らもこの8月に中学2年生の一人娘とともに来米、現地オペレーションの事業を軌道に乗せるまでを念頭に腰を落ち着かせてニューヨーク生活をスタートさせたばかりだ。

 「自社食品を米国のメジャーマーケットで展開するためには、自力でチームを構築して事業を牽引する必要があると判断、対米進出を実現しました。これまで何度も商品見本市などの海外フェアに参加しましたが、その場所で商談が成立しないと時間の無駄だと思ったんです。アメリカのバイヤーは広い会場を回って歩くのでとても忙しく、具体的に商談ができて契約をまとめられる担当者があまりいなかった日本のブースには関心を示してくれず素通りされることが多かったです」と過去にあまり手応えの感触を得られなかった自己の体験談を話す。

 日米両拠点の運営を積極的に管理する荻野さんは、生産者・環境・消費者を支える循環型ビジネスモデルに注力し、食を通じた社会的価値の創出を目指しているという。米国では同社の商品群の中から「ナチュラルスナックとヴィーガン・バターを全米4万店舗に卸すぞ!」と意気込んで、2029年までに東京証券取引所グロース市場への上場準備を推進中だ。「アメリカのバター市場は8000億円規模と言われていますが、2035年、10年後にはその5%を自社製品で取りに行くのが目標です」と鼻息は荒い。

 NYでは、同社取り扱い商品である薬膳おやつ「ZEN SNACK」をロングアイランドシティの日系食料品店で試食販売を開始しており、「アジア系以外の人は薬膳に関する認知度が少ないため、スーパーフルーツとかスーパーナッツとして年明けからパッケージも衣替えして販売するつもり」だ。だが、米国での主力販売品となるのは、あくまでも本家本元のココナツオイルから作ったヴィーガンのバター「ベター・ザン・バター」だ。同商品は現在自社で輸出入を行なっており、代理店を通じて西海岸の米大手食品スーパーに売り込み中だという。

 日本国内での成功体験をどう米国に繋げるかが腕の見せ所だ。

 (三浦良一記者、写真も)

https://brownsugar1st.store