今年も残すところ半月余りとなった。ニューヨーク地域に住む日本人にとって、今年はどんな年だったのだろうか。遡れば今年1月のトランプ大統領の就任以来、米国は過去に類例を見ない大変革の1年となった。バイデン政権時の弱者救済の博愛主義は影を潜め、富めるものがさらに富を増幅させ、一般国民だけでなく本来最も安定した職業と見られていた公務員の連邦政府職員たちまでもが路頭に迷う光景が繰り広げられた。そしてニューヨークの物価は高止まりのままだ。街でラーメン一杯と餃子を外食すれば、日本円に換算して約6000円だ。外国人として米国に暮らす日本人の日常を取り巻いた今年1年のさまざまな出来事を本紙の見出しで振り返ってみた。
【1月】
■NYで渋滞税施行(1月11日号)
交通渋滞課金制度が1月5日に開始され、5つの行政区およびそれ以外の地域に住む通勤者に影響を与えている。この制度は、マンハッタン60丁目以南の道路や大通りに入ったドライバーに課金する政策で、乗用車の場合、EZパス利用で平日の午前5時から午後9時まで、週末の午前9時から午後9時までの「ピーク時間帯」の料金は9ドルを支払う必要がある。EZパス利用の乗用車の場合、夜間は料金が2ドル25セントに引き下げられる。
■第2次トランプ政権始動 (1月25日号)
米大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏(共和党)が20日、ワシントンDCでの大統領就任式に臨み、第47代大統領に就任した。寒波のため、通常の合衆国議会議事堂の外ではなく議事堂内のロタンダ(円形大広間)で行われた。寒波のため議事堂内で行われるのは1985年のレーガン大統領就任式以来となった。就任演説は前回4年前の約16分の倍近く長い32分ほどだった。
【2月】
■メキシコ湾→アメリカ湾に 米大統領令で改称(2月22日号)
ホワイトハウスのテイラー・ブドウィッチ大統領次席補佐官は14日、AP通信がアメリカ湾への改称に従わないことは「誤情報」であり「無責任で不誠実な報道」だとX(旧ツイッター)で批判、「無責任で不誠実な報道をする彼らの権利は憲法で守られているが、大統領執務室や大統領専用機のような限られた空間に自由に出入りできる特権はない」と述べた。
ビザが取れない
連邦職員は大量解雇の悪夢未だに

■「不法移民狩り」 移民社会に影(2月1日号)
1月28日、米移民取り締まり当局は、ブロンクスで誘拐、暴行、窃盗容疑の不法移民者を逮捕した。国土安全保障省のクリスティー・ノーム新長官が発表した。摘発したのは、同省傘下の米移民税関捜査局(ICE)とニューヨーク市警察(NYPD)。前週からニュージャージー州ニューアーク、イリノイ州シカゴでも大量の摘発が始まっている。さながら冷戦期のアメリカの1950年代初めのマッカーシズム「赤狩り」の再来を思い起こさせる「不法移民狩り」が始まった。
【3月】
■津田和夫さん死去 国連国際学校で教鞭(3月1日号)
国連国際学校(UNIS)で長年、日本語を教え、アメリカ北東部での中等日本語教育のパイオニアとして親しまれた津田和男さんが2月18日未明、ニューヨークの自宅で亡くなった。76歳だった。
■米公務員の大量解雇 続々通知で大混乱 (3月1日号)
トランプ大統領は1月の就任初日に大統領令でマスク氏をトップとするDOGE(ドージ)こと政府効率化省(Department of Government Efficiency)を設立。政府の効率性と生産性を最大化すること」としておよそ300万人を擁する連邦政府職員の削減計画が急ピッチで進んでいる。手始めとして1月29日、2月6日までに退職に応じれば9月30日までの給与を支払うとフルタイムの連邦政府職員200万人に通知。ワシントン・ポスト紙によると7万5000人以上が応じた。
【4月】
■外国人登録を厳格化 グリーンカードに携帯義務(4月16日号)
ニューヨーク日本総領事館は9日、米国における外国人登録義務等の厳格化について在留邦人に「重要事項」として注意喚起した。内容には4月11日以降、米国永住権(グリーンカード)を持っている者はグリーンカードを常時携帯する義務が生じるなどと記載されている。18歳以上の外国人は、国土安全保障省(DHS)が発行する登録証明書(Iー94、就労許可証・EAD、グリーンカード等)を常時携帯する義務が生じる。
【5月】
■沿道に6万人 ジャパンパレード(5月17日号)
ニューヨークへの感謝と日本文化の紹介、日系社会の連帯を目的に10日、マンハッタンのセントラルパークウエストでジャパンパレードが盛大に開催された。今年で4回目となるこのパレードは参加団体110と昨年より11団体増え2800人以上が行進する大規模なものとなった。今年のグランド・マーシャルに選ばれたアイアンシェフで知られる森本正治さんがパレード先頭グループでオープンカーに乗り沿道に詰めかけた約6万人の観衆に手を振って応えた。(写真上)
■帰国土産は日本米 「日本より安い!(5月24日号)
日本国内で、全国的な米不足で、価格高騰が深刻化している一方で、米国では日本のお米が安く買えるということで一時帰国の際に、日本から輸入された日本米をお土産に持って帰る人が出始めている。日本で5月5日から11日までの銘柄米は5キロあたり4434円で前週比36円値上げ、ブレンド米は同3895円で同54円の値上がり。インフレが続くニューヨークでは、日系食料品スーパーで、日本から輸入された米が24ドル(1ドル150円換算で3600円)などで販売されている【6月】
■留学ビザ面接停止で邦人留学生路頭に(6月7日号)
ルビオ米国務長官は5月27日、世界各地の米国大使館に対し、大学留学などに必要な学生ビザ取得申請者の面接予約を一時停止するよう命じた。「反ユダヤ主義」とみなされる外国人留学生がいるとの主張を受け、ビザ申請者による交流サイト(SNS)への投稿履歴の審査を厳格化することを目的としている。新規面接予約の停止が対象となるのは一般学生向けのFビザはじめ、職業研修・訓練を受けるMビザと交流訪問者向けのJビザも含まれる。小中高生や大学院生を含むあらゆる学生が対象で日本の留学希望者にも影響すると見られる。
【7月】

■マンザナー強制収容所史跡 反米展示警告標識設置 (7月5日号)
全米日系人博物館(ロサンゼルス、JANM)は6月18日、第二次世界対戦中にアメリカの日系人が強制収容されたマンザナー国定史跡やミニドカ国定史跡を含む国定史跡や国立公園において「訪問者にアメリカ史を批判する内容とみなされる情報」を報告するよう促す標識を設置したことを非難した。(Photo :Toyo Miyatake Studio/Three Boys Behind Barbed Wire, Manzanar Internment Camp)=写真左=。

■参院選在外選挙 NY845人が投票 (7月23日号)
総務省によると第27回参議院議員通常選挙に伴い前倒しで実施された在外投票の投票者数は、選挙区選挙が2万7011人、比例代表選挙が2万7160人だった。7月20日時点の在外選挙人名簿の登録者数は10万431人で、投票率は選挙区選挙が26・9%、比例代表選挙が27%となった。各在外公館調べの投票者数では、ニューヨーク総領事館が845人と全米の在外公館ではトップで、内訳は小選挙区が832人、比例代表が844人。ニューヨークでの在外選挙人登録者数は4760人で投票率は17・75%だった。
【8月】
■ミッドタウンで銃乱射 警官ら4人が死亡(8月2日号)
マンハッタンで7月28日午後6時半ごろ、パーク街52丁目345番地にある44階建て高層ビルに男がAR15ライフル銃を持って侵入して銃を乱射し、5人が撃たれ、警察官を含む4人が死亡した。容疑者はビル内のオフィス33階で自殺した。アダムス市長が同日夜記者会見し、容疑者はネバダ州から来た27歳の男で、名前はSHANE TAMURA で犯行動機は捜査中とした。
■イチロー殿堂入り 英語スピーチ話題に (8月2日号)
マリナーズなどで通算3089安打を放ち日本人で初めて米国野球殿堂入りしたイチロー氏(51=本名・鈴木一朗。元マリナーズなど)が7月27日、ニューヨーク州クーパーズタウンでの式典に出席し、英語で19分間のスピーチを行った。米メディアはそのスピーチの素晴らしさを相次いで報じた。
【9月】
■H1ビザ取得に10万ドル新規雇用企業に手数料(9月27日号)
トランプ米大統領は19日、専門技術を持つ外国人向けのH1Bビザ申請について、雇用主の企業に年10万ドルの手数料を課す大統領令に署名、21日から発効した。H1Bビザ申請にはこれまで抽選登録料の215ドルと、雇用主が提出する請願書の申請料780ドルだったが、これらに加えて10万ドルが必要となる。適用されるのは新規のビザだけで、ビザの更新やすでにビザを持っている人に10万ドルの手数料は必要ない。
■報道関係者滞在ビザは240日 (9月14日号)
米国土安全保障省(DHS)は8月27日、留学生向けのFビザ、交流訪問者向けのJビザ、外国メディア関係者向けのIビザについて、「滞在期間を固定制に変更する」新たな規制案を公表した。これまで学籍・雇用期間などに応じて柔軟に滞在可能としていた「ステータス有効期間」方式を廃止し、上限付きの滞在に改める。具体的には、FビザおよびJビザは最長4年間、Iビザは国籍別に制限され、一般の外国人報道関係者は240日で、中国国籍者は90日までとする。
【10月】
■米政府機関一時閉鎖 連邦職員の給与停止(10月4日号)
米連邦政府は10月1日から始まる新会計年度を前に、議会で予算が成立せず、政府の一部期間が閉鎖された。現行の予算は9月30日深夜に失効した。それまでに与野党が妥協できなかったため政府閉鎖となった。閉鎖が現実となり約30万人が給与停止に直面し、不可欠業務に従事する法執行官らは無給で勤務を強いられる。航空管制官や交通保安局(TSA)の訓練が停止し、人員不足に拍車がかかる懸念がある。

■眞子さん表紙にタウン&カントリー誌(10月25日号)
米誌『タウン&カントリー』が、秋篠宮家の長女、小室眞子・元内親王を特集記事で取り上げている。同誌は1846年創刊の老舗ライフスタイル誌で、読者には上流階級や富裕層が多い。そんな同誌が表紙に眞子さんを載せた10月号が米書店の店頭に並んだ=写真=。日本からニューヨークに居を移した経緯と夫の圭さんとの米国での暮らしぶりを記事で紹介している。
【11月】
■NY市長にマムダニ氏 若者層が支持、連邦政府敵に(11月8日号)
ニューヨークの市長選挙は4日、投開票され、急進左派のニューヨーク州下院議員の民主党候補ゾーラン・マムダニ氏(34)が初当選した。インド系移民でアフリカ東部のウガンダ生まれのマムダニ氏は、家賃値上げの凍結や市営スーパーの導入といった生活コスト低減政策を掲げ、物価上昇に苦しむ若年層を中心に支持を集めた。民主党の今後の方向性について議論が予想される。マムダニ氏は、全米最都市の市長としては最も若い人物となる。南アジア系の人物として、そしてイスラム教徒としても初めてこの役職に就くことにもなり、ニューヨーク市政で歴史的な選挙結果となった。

■能と歌舞伎の共演 日本の伝統芸能に大喝采(11月22日号)
カーネギーホールで14日夜、日本の伝統芸能「歌舞伎」と「能」を融合した特別公演「An Evening of Traditional Japanese Arts」が行われた。圧巻は、「三響会版・獅子」で観世喜正が能の、歌舞伎俳優の中村隼人が歌舞伎の獅子となって海外同一演目で並び立つという前代未聞の舞台を披露し、同大ホール2000席完売の客席からスタンディングオベーションの大喝采を浴びた。
【12月】
■サムライ・ソード・ソウルが20周年記念公演(12月6日号)
ニューヨークを拠点とするサムライ演劇カンパニー、サムライ・ソード・ソウルは、12月3日から7日(日)まで創立20周年を記念した最新舞台『DON’T CRY MY FRIEND (泣かないで、友よ)』を好評上演中だ。総合演出はヨシ天尾。本作は、日本の二大民話「浦島太郎」と「泣いた赤鬼」を原案にしたオリジナルのサムライ演劇。

