編集後記

編集後記



 みなさん、こんにちは。ゾーラン・マムダニNY市長は、市の公益事業を支援する非営利団体「市長基金」の諮問委員会を全面的に刷新し、現委員全員を退任させる方針を明らかにしました。委員全員が交代するのは、少なくとも過去3代の市長政権では初めてとされ、市政と経済界との関係に変化をもたらす動きとして注目されています。


 退任する委員には、NYの経済界を代表する企業幹部が名を連ねています。マムダニ市長は今年就任後の4月、市長基金の理事会に元港湾労働者や高校教師を起用するなど、従来の経済界中心の運営体制を大幅に見直しています。今回の諮問委員会刷新も、その流れを引き継ぐ施策とみられています。


 1995年に設立されたこの「市長基金」は、企業や財団、個人から募った資金を、市の公共事業や緊急支援活動を後押しする役割を担ってきました。民間から集めた資金をどの公共事業に振り分けるかの言わば御意見版として君臨してきた企業トップを全員すげ替えた今回の改革の動機がどこにあったのか、発表された内容には、その理由は示されていません。


 お金に絡む癒着や腐敗を妨げるために、制度としての刷新システムの構築はもちろん理にかなっていますが、なんでもそうですが、長年にわたって機能しているシステムにはそれなりの安定した仕組みに支えられているものです。今回の市長の発言やトランプ大統領の「出生地主義の制限」の大統領令もそうですが、アメリカの政治はトップダウンといえば聞こえがいいですが、要するに独断でなんでも決めているだけではないのかとも見えます。


 日本の国会のように、政策の文言一つを巡って与野党の駆け引きが何日も続くような牛歩の国会も、どうかと思いますが、アメリカから学んだ民主主義を実直に行使している日本と、勝手に「自分の頭の中で信じた理想」を押し付ける政治が目立つ今のアメリカと、日米のいいところと悪いところの両方が見えてしまう在米邦人としての視座がゆらゆらと揺れているのを感じた今週号でした。


 そもそも姉妹都市の東京の小池都知事が、NYに1週間も異例の長期滞在をしても、面会することすらしなかったマムダニ市長は、外交を軽視しているのではないか、失礼だという声も聞かれます。今回の諮問委員会委員の全員のいきなりの解任にも経済界から反発の声が出そうです。市長には、一般常識で考える人間としての何かが、一部別の異次元の細胞に置き換わっているような印象を持つのは、私くらいなものかもしれませんが。そういえば昔、新人類という言葉が日本で流行りましたね。死語ですが、なんかNYで今ごろになって思い出してしまいました。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)