観客数、コロナ禍前に戻らず

ポピュラーコンサートは順調

 コロナ禍が収束に向かいクラシックコンサートやオペラ、ブロードウェーなど舞台芸術が再開したものの、2021〜22シーズンの観客動員数はコロナ禍前を下回った。

 ブロードウェーは2018〜19シーズンは1万3590回の公演で1480万人を動員し18億ドルの収益を上げたが、2021〜22は6860公演で動員は670万人、収益は8億4500万ドルと半減した。メット・オペラはコロナ禍前は75%の座席が埋まっていたが61%にまで減少した。カーネギーホールの満席率はコロナ禍前93%から今シーズン88%と微減だが、これはコロナ禍前170回ほどあった公演を再開後は115回ほどにしたためだ。ニューヨーク・フィルハーモニックも平均90%の満席率でシーズンを終えたが、例年120ある公演を80回ほどにしたことに加え、メインのデイビッド・ゲフィン・ホールが改装中で小ホールで公演したためだ。

 クラシックやオペラはチケット販売低迷に加え、サブスクリプションも減っている。分析会社であるTRGアーツが北米の143の舞台芸術団体を対象に行った最近の調査によると、2021-22 シーズンのチケット販売数はコロナ禍前と比べて40%減少、収益は31%減収となった。

 減少の理由として、依然として新型コロナ感染を懸念する人が観客側にも製作側にも多いとみられること。次にリモート勤務のままの人たちは公演施設のある都心部に通勤しないため観る機会を失っていることなどが挙げられている。これらに加え、TRGはクラシック音楽愛好家の高齢化も指摘している。

 映画館もコロナ禍前の観客数に戻っていない。今年のこれまでの国内興行収入は新作が少ないこともあり、2019年の同期と比べ31・2%減少している。大リーグの観客動員数もコロナ禍前より少ないままだ。

 一方でポビュラー音楽のコンサート売り上げは順調に売り上げを伸ばしており、コンサート大手「ライブ・ネーション」は今年、通年計算で2019年を上回る1億枚のチケットを販売している。

(写真)ブロードウエーのミュージカルにも観光客が戻ってきているが、パンデミック以前ほどではない(30日)