一部移民に巨額制裁金 自主出国へ経済的圧力

 トランプ米政権が、国外退去命令に従わず米国内にとどまる一部の移民に対し、1日998ドル(約16万3千円)の民事制裁金を科し、「自主出国」を迫っている。国土安全保障省(DHS)によると、2025年1月の政権発足後、10万3000件を超す通知を出し、請求総額は840億ドル(約13兆7500億円)以上。法律上5年分までさかのぼれば、1人当たり約182万ドル(約2億9800万円)に達する。

 7月24日付ニューヨーク・タイムズ紙によると通知には短い異議申し立て期限が設けられ、支払わなければ民間回収会社への移管、信用情報機関への報告、給与差し押さえ、税還付金の没収、連邦訴訟などの可能性が示される。メキシコ出身で米国に17年間暮らし、人道ビザを申請中の女性には約182万ドル(約2億9800万円)が請求された。封筒には、政府の「CBPホーム」アプリを使って自ら出国すれば制裁金を免除するとの案内も同封されていた。

 また、米軍人と結婚し、米国生まれの子ども4人を育てるトーゴ出身女性は130万ドル超(約2億1300万円)を請求され、夫婦の税還付金1万662ドル(約174万円)が差し押さえられたという。移民側の弁護士や支援団体は、在留資格取得の手続き中の人や、当局が退去を一時停止した人まで対象になる例があるとして、適正手続きや「過大な罰金」を禁じる合衆国憲法修正8条に反すると提訴している。

 制度自体は1996年の移民法で認められたが、実際の大規模運用はトランプ政権が初めて。バイデン前政権はいったん撤回したが、トランプ氏は再就任初日に復活させた。政府は、別の救済措置を申請中でも退去命令違反の責任は消えないと主張。DHSは7月16日までに120万ドル(約1億9600万円)超を回収しており、強制送還とは別の経済的圧力として運用を強めている。