日本国籍自動はく奪違憲訴訟

海外日本人サポート 藤田幸久(6)

 前回ご紹介したように、外国籍を取得しても日本国籍が自動的にはく奪されるのではなく「日本国籍を保持するかどうかを自分で選択できる」よう国籍法第11条の改正を求める訴訟が次回9月6日に開催されます。日本人の両親から生まれ、日本人として育ち、海外で暮らす日本人による訴訟です。外国籍を取得した日本人のほとんどが海外で生活するために必要だった人々です。しかし形式的に外国籍を取得すると、日本の国籍が自動的に根こそぎはく奪されるのが今の法律です。  

 やむを得ない事情で外国籍を取得したのはノーベル賞受賞者たちだけではありません。国際結婚をした、結婚相手を米国に呼び寄せるために必要だった、日本の母親の介護を続けながら米国で生活するために必要だった、などです。

 外務省は長年両方のパスポートを持つことを黙認してきました。数年前に日本領事館が開催したセミナーでも外国籍取得と日本国籍喪失の関係は触れられませんでした。しかし新型コロナ発生に伴い、日本パスポートを保持しない日本人には、国籍喪失届を提出しないとビザを出せないと言われて帰国できない人が増えています。米国在住の近藤ユリ弁護士は、里帰りしていた日本で、このまま出国すると日本に帰国できなくなる制度に承服できず、国籍法第11条違憲訴訟に踏み切ったのです。

 「領事館から、他国に帰化したのに日本のパスポートも所持していることは犯罪に当たると脅された」、「親の死に目に会えなかった」といった現実に追い込んだ基盤が国籍法第11条です。これは国籍離脱の自由を保障する憲法22条、自己決定権・幸福追求権などを保障する憲法13条、そして法の下の平等を保障する憲法14条に違反する、と原告団は主張します。

 激動する世界の中で、世界の情報やネットワークがますます日本の存亡を決める現在、世界で活躍する海外日本人を支援することは国益そのものです。日本に対する愛情や誇りも高い海外日本人に対する在外投票権の制限や、日本国籍自動はく奪などの差別を是正することが急がれます。米国やカナダ各地の日本語メディアがこの訴訟を掲載しています。9月6日の裁判の報告集会にはzoomで参加できます。原告団ウェブサイトhttp://yumejitsu.net からアクセスし、ご支援をお願いいたします。

ふじた・ゆきひさ=水戸一高、慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。対人地雷禁止条約加盟、アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。世界52ヵ国訪問。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。