ジャパン・ソサエティーは7月22、23日、「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」を開催した。北海道平取町との共催で、日本北部の先住民族・アイヌの歴史や文化を多角的に紹介する催し。会場には北海道・平取町から15人の工芸家や文化継承者、教育関係者が来米した。アイヌ古式舞踊の公演をはじめ、木彫りのワークショップ、アイヌ料理のデモンストレーションと試食、映画上映、講演などを通して、言語や生活文化、精神文化に触れる機会を提供した。両日ともに完売の大人気となった。
今回のフェスティバルは、アイヌ文化の保存と継承に生涯を捧げた平取町の故・萱野茂さん(1926〜2006)の生誕100周年を記念して企画された。萱野さんは平取町二風谷地区を拠点にアイヌ文化の復興運動に尽力し、日本でアイヌ民族として初めて国会議員となった政治家としても知られる。
一行を率い来米した平取町の遠藤桂一町長は「アイヌ文化をニューヨークで紹介できることを光栄に思う。アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会を目指し、次世代へ伝統を継承していきたい」とコメントした。国会でアイヌ文化振興法が制定されたのをきっかけに平取町は8年前、アイヌ文化振興公社を作り、遠藤町長自らが社長となって伝統文化の継承事業を推進している。
それまでコミュニティ活動として継承され続けてきた日本のアイヌ文化が今、会社組織となって所得保障がなされたことで、アイヌ文化を広める会社の社員としての誇りと未来への希望が、来米したアイヌの若者たちの顔に溢れていた。明るく快活で、会場でも大勢のアメリカ人観客と積極的に会話して交流を深める姿が印象的だった。アイヌ魂(スピリット)が見事に次世代に伝承されバトンタッチされていることを強く印象付けた2日間だった。



会期中には、エミー賞受賞歴を持つ映像作家の溝口尚美さんが10年以上かけてアイヌのコミュニティを訪れて信頼関係を築き、製作したドキュメンタリー映画「Ainu ーひと」が上映された。また、イベント前夜に北海道ゆかりの会(竹田勝男代表幹事)による歓迎会がマンハッタンの日本食レストラン「つくし」で開催され、道産子同士の交流の話に花を咲かせた。今回に続き、平取町から8月12、13日に第二陣のグループが来米してアイヌ文化の紹介を行う。次回は独特のアイヌの刺繍や言語のワークショップが予定されている。
(三浦良一記者、写真も)

■「アイヌ・サマー・フェスティバル—アイヌの物語、文化、そして伝統」8月12日(水)▷午後4時〜5時30分「Ikarkar=an ro!」刺繍ワークショップ午後5時30分〜6時45分「Itak=an ro!」アイヌ語ワークショップ▷午後7時〜8時30分「Sinot 沙流川流域の踊り」公演(レセプション有り)■8月13日(木)▷午後4時〜5時30分「Sinot=an ro!」アイヌ古式舞踊ワークショップ午後5時30分〜6時45分・映画「Ainuー ひと」無料上映会・監督の質疑応答▷午後7時〜8時30分「Ikarkar & Itak: 」アイヌの刺繍と言語。(レセプション有り)入場料・一般20ドル、学生とシニア17ドル、会員15ドル。詳細とチケットの申し込みはウェブサイトhttps://japansociety.org/ainufestival/

