米国内の複数の空港で、移民税関執行局(ICE)の職員が運輸保安庁(TSA)の業務を一部支援し、搭乗前の身分証(ID)確認などに関与していることが明らかになった。政府機関の一部閉鎖に伴う人員不足で、空港の保安検査場では長時間の待機列が発生しており、その対策として導入された措置とされる。
アトランタやフェニックス、ニューヨーク市のラガーディア空港などでは、ICE職員が乗客に身分証を提示させ、確認後に検査ラインへ誘導する様子が確認された。国土安全保障省(DHS)は、ICE職員がTSAの訓練を受けたうえで標準的な手順に基づき業務を行っていると説明し、混雑緩和につながるとの見方を示した。一方で、空港によって対応には差があり、ケネディ国際空港とニューアーク国際空港では補助的役割に留まっていた。ただし最近になって、一部でID確認にも関与するケースが出てきているという。シカゴ・オヘア空港では目立った活動は見られなかった。空港と日によって役割がまちまちの状態だ。
この措置が実際に待ち時間短縮に寄与しているかは不明である。現場では依然として長蛇の列が続き、乗客の不満も根強い。さらに、一部の旅行者からは、移民取締機関であるICE職員が、パスポートや自動車運転免許証の提示など保安検査に関与することへの不安や権限に対する疑問の声も上がっている。特に移民の間では、取り締まりの対象になるのではないかとの懸念も指摘されている。
今回の背景には、議会の対立による国土安全保障省の予算失効がある。約5万人のTSA職員が無給で勤務を続ける中、辞職や欠勤が増加し、ケネディ国際空港など主要空港では過去最長とされる待ち時間が発生している。政権は約150人のICE職員を投入して対応を図った。ともに国土安全保障省の管轄下にあるが、ICE職員には給与が支払われているのに対し、TSA職員には支払われていない。しかし、労働組合や一部議員からは「混乱を招くだけ」との批判も出ており、航空業界団体など約50団体も空港機能の混乱を懸念し、議会に対し政府閉鎖の早期解消を求めている。

