海外日本人サポート 戦争終結はドナルドだけが

 高市早苗首相の訪米中の言動に対するさまざまな批判が日本で出ています。「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」との発言が第一です。トランプ大統領が開戦し、しかも首脳会談後に戦争を拡大したという理由です。

 私は、大統領就任演説での「成功は、戦争勝利、戦争終結、そして戦争回避で評価される」との発言を想起しました。イランは米軍の攻撃に耐え、ホルムズ海峡を人質にして世界の繁栄に対して反撃しています。イスラエルのネタニヤフ首相を諫め、戦争終結ができるのはドナルドだけです。高市発言と同じ結果の可能性があるのです。

 第二は、イラン攻撃を事前に知らせなかったという記者の質問に対する「なぜ日本は真珠湾攻撃を知らせてくれなかったのか」との大統領の返答に対して、首相が抗議しなかったとの批判です。米メディア各社が大統領の発言を批判的に報道しているので、真意を理解せずに首相が反論しなかったことは賢明だったと思います。

 結果的に、米国が求めていた自衛艦のイラン派遣を憲法上の理由で断り、他方、イランからは日本への給油確保発言を引き出したことは首脳会談の成果と思います。

 私は3月にパリで欧州復興開発銀行初代総裁の思想家ジャック・アタリ氏と懇談しました。彼は最近「第3次世界大戦はまだ回避できるか?」という論文を寄稿。「第2次大戦後の資本主義と共産主義の対立などによる数回の大戦の危機は消滅したが、西側支配に対するグローバルサウスなどの反発は根強い。

 法の支配や社会的公正をまだ維持している欧州が日本などと連携して抑止できる可能性がある」との意見です。

 米国のシンクタンクCIPも「反中国合意は第3次大戦問題」という論文を掲載しました。「オバマ政権以来の歴代政権は、対中戦争を外交政策の柱とする合意を形成した。これを変えられるのはトランプ大統領のみだ」と、先に述べた大統領就任演説を引用しています。

 関税戦争に加えて本格戦争も開始した大統領は追い込まれています。戦争終結と大戦回避を進言するのが高市首相の役割と思います。但し、個人関係頼り外交は、「トランプ後の日米関係」に不安を残します。対イラン軍事作戦不参加の欧州諸国やグローバルサウスなどとの関係を深め、自立・多角的外交に舵を切る好機です。

ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会理事、岐阜女子大特別客員教授も兼任。