在外投票ネット以外に他策なし在外投票

 在外ネット投票導入法案は、林芳正外務大臣、河野太郎デジタル担当大臣、逢沢一郎自民党選挙制度調査会長が相次いで賛成を表明したにもかかわらず、今の国会での提出が暗礁に乗り上げています。与党内での反対意見が強いためで、その主な理由は、在外ネット投票を認めると、国内でのネット投票導入に繋がるとの懸念が主な理由のようです。近年の国政選挙で約百万人の在外邦人の中で約2万人しか投票できなかったという現実は、単なる不平等ではなく、国が国民の権利をはく奪している不作為と言っても過言ではないと思われます。

 在外投票が実際にできない理由と実例を海外有権者ネットワークNY竹永浩之共同代表が以下のように挙げています。

(1)在外公館無しの国が42か国。遠すぎる①隣国ルワンダの大使館まで3百ドルの旅費、陸路は国境封鎖(ブルンジ)、②大使館まで往復3日、日本からの郵便停止中(ザンビア)、③在外公館まで10時間(米国)、9時間(豪州)。

(2)在外公館での投票可能な日が平均約4日間のみ。(国内では衆院選は12日間、参議院選は17日間)

(3) 郵便投票の不手際(投票用紙申請用紙の日本到着まで2カ月。投票用紙が税関で3週間ストップ)

 これらの理由を改善することは困難です。公館を増やすことや投票可能日延長は至難であり、郵便機能はコロナの影響も含め各国で低下しています。また選挙管理委員会の人為的なミスも減っていません。つまり、海外有権者にとっては、ネット投票という方法しか他策がないのです。総務省が立会人が不要である郵便投票を認めてきたことは大きな前進です。これも踏まえてネット投票実現に活かして欲しいと思います。

 本年は解散総選挙や、4月下旬の4つの衆議院補欠選挙の可能性があります。国内でのネット投票導入の是非を理由に、海外有権者の権利はく奪状態を引き延ばすことはもはや許されません。全ての国会議員の皆さんの英断を求めます。

 最後にお知らせがあります。2月21日に「外国籍を取得しても自動的に日本国籍を失うのではなく、日本国籍の保持を本人が選択できるように改正を求める」国籍はく奪条項違憲訴訟の東京高裁判決がおります。日本時間15時15分からの報告集会の視聴が可能です。ご希望の方は以下からお申込み下さい。

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 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。