青空に魅せられて

私がアメリカ、それもカリフォルニアに住みたいと思ったのは、雨の降らない夏の雲一つない青空が、見ているだけで私を幸せにしてくれたからだ。そんな話を聞いた親友はかつて「だったらセドナを見ないで人生を終えちゃダメよ」と言っていた。
そのセドナがルート66からちょっと離れたところにあるのだから、これまた立ち寄らないわけにはいかない。セドナはご存知の通り、グランドキャニオンと並ぶ西部の一大観光地。地磁気が強く、vortexと呼ばれるパワースポットの街として世界中から人が集まってくる。地磁気が脳に良い刺激をもたらすなんて言われたら、スピリチャルな世界を信じるタイプではない私でさえ、パワーチャージができるような気になる。
でも私の目的は「青空」だ。本当に美しかった。カリフォルニアとは青さの深みが違う。その青が浮かぶ雲を白ではなく、真珠色に輝せる。青をさらに引き立てるのはそびえ立つ赤い岩・レッドロック。グランドキャニオンで感じた「地球の底力」を、また別の角度から、別の風景から教えられた気分になった。確かに「見ないで人生を終えてはいけない」青空だった。
ルート66に戻り、セドナとともに観光地となっているフラッグスタッフに向かう。ルート66沿いの街々には、ゴーストタウンのようになってしまった街と、フラッグスタッフのように洗練されたトレンディーな街もある。その日がちょうどアメリカの建国記念日だったので街中は観光客であふれていた。観光の案内人によると「ショーが行われる」とか。それも山火事の危険を減らすため、花火ではなくドローンによるショー、だという。
夜9時近く。小高い丘に立っていると「ブーン」というちょっと不快な音と共に約百機のドローンが飛んできた。その姿はまるで巨大な蜂の大群のよう。ドローンが光を放つと人々の歓声が上がり、「USA」とか「60年台のクラッシックカー」とか「ルート66 100周年」などと文字や絵を描くと、拍手が湧いた。
それぞれの街には、先住民族から作り上げてきた歴史がある。人が作る光景もある。一方で、地球が人類など一顧だにしない自然がある。ルート66を旅する中で、アメリカという国の大きさや深さをあらためて感じ、もっとアメリカを知りたくなっていった。
(やがみ・じゅんこ、シンガーソングライター、ロサンゼルス在住)

