移民法の新規則と永住権発行の制限  加藤弁護士

 トランプ政権下で、U.S. Department of Homeland Security(アメリカ合衆国国土安全保障省) からいくつかの新規則が、ほとんど2〜3週間ごとに発表されています。また、現時点ではまだ規則として公表されておりませんが、近い将来施行される規則もお伝えします。

(1)DV1 抽選永住権申請の停止

 1990年の移民法により現在のDV1抽選永住権プログラムが始まりました。毎年、世界中から抽選で選ばれた5万5000人に永住権が発行されていました。しかし、昨年12月にブラウン大学構内で射殺事件があり、2名の学生が射殺され、他の9人が重傷を負いました。容疑者は2017年に抽選永住権によって永住権を取得し、アメリカに入国したポルトガル出身者でした。その事件を踏まえて、今後このように公共に害を及ぼす可能性のある外国人をアメリカに入国させることを防ぐために、一旦この抽選永住権申請を停止すると、国土安全保障省から発表がありました。

 2024年の10月と11月に抽選永住権を申請して、2025年に選ばれた人の分の永住権審査は続けられており、面接は今年の9月まで行われる予定です。ただし、昨年10月から11月にかけて申請した人たちの分の審査は行われないかもしれません。

(2) 永住権者の180日以上の米国外の滞在

 現行移民法では、1年以上アメリカ国外に居住した場合、永住権を放棄したと見做されます。しかしながら、現在181日以上アメリカ外に滞在した場合も、永住権を保持する意志がないと見做されるようです。何らかの事情でアメリカ外に181日以上滞在しアメリカに入国した場合、空港の入国審査官にアメリカでの住所やドライバーズライセンス、税申告書などを示して、審査官に永住権放棄の意志はないと納得してもらわなければなりません。また、一度そのような状況にあった場合、審査官はすべて記録しますので、次にアメリカを離れてたとえそれが3〜4か月であっても、同じように質問される状況になります。そして、次回アメリカを離れる場合は、必ずReentry Permit (再入国許可)を申請をするようにと、指示される可能性は高いです。 

(3) 永住権許可の数を50%まで減らす方針

 結婚や親族を通しての永住権申請の審査では、申請者が永住権取得を希望している外国人を扶養できるだけの給与や貯蓄があるかが、最も重要な点です。扶養証明書では、給与額または貯蓄を記載する箇所があり、 政府が規定したPoverty Guideline(貧困ガイドライン)の額以上の給与額があることを記載し、それを証明するために税申告書を提出する必要があります。これは、アメリカに入国する外国人が、今後アメリカのさまざまな公的な補助を受ける対象になることを防ぐためです。ちなみに2026年度の貧困ガイドラインでは、2人家族では2万1640ドル、3人家族では2万7320ドル、4人家族では3万3000ドル、5人家族では3万8680ドルの年間所得がある必要があります。その額を今後引き上げることを予定しているようです。

 学生ビザに関しても規則が変わる可能性もあります。また次回の記事でお知らせいたします。

(加藤恵子/ニューヨーク州弁護士)