身につけ飾って楽しむ

上村さんがパールアートNY展

 パール芸術作家の上村栄司さんが7月5日から9日までソーホーのギャラリー・マックス・ニューヨークで「パールアート展」を開催した。ニューヨークでは3年ぶりの開催。初日には上村さんが新たに手がけているストーリー性のある作品で、身につけた後は自宅に飾って見て愛でる芸術作品としての表現の数々を紹介した。来場したパール愛好家の顧客たちは、作品を手に、首に、胸に飾りながら上村さんの説明に聞き入っていた。当日は講演会も開催された。

 上村さんは、 三重県南伊勢で祖父の代から真珠養殖を営む3代目で、真珠に限りない愛情を注ぎ制作に取り組んでいるユニークな真珠アーティストだ。もの心ついた時から枕元にいっぱい真珠が転がっているような環境の中で育った。パンデミックの2年半、今まで気がつかなかった多くの発見があった。その一つが、身に着けるものだけでなく、身に着けない時間をアートとして身近で眺め愛でることができる作品の創作だ。また真珠をあしらったテーブルウェアなどにも力を入れている。そうすることで、「これまでジュエリーに全く興味の無かった方がお求めくださったり、またご自分をイメージした作品を作って欲しいなどの依頼もいただいたり、真珠の別次元に一歩踏み入った感覚で制作しています」と話す。

 テーマは、スパイダーが真珠を掴んでいる作品や、宇宙飛行士が月面着陸している宇宙を真珠で描いた作品などさまざま。

 講演では「一緒にお出かけした後は、特性ケースに飾って、感謝の気持ちで、アートとして鑑賞して楽しむ」使い方も紹介した。養殖真珠が開発されたのは、今から約100年前。天然真珠と比べ、まん丸で形もすべて揃っている養殖真珠は世界の人々の賞賛を集めた。 祖父の代から真珠養殖に携わってきた上村さんは「丸く揃っている真珠は素晴らしい。しかし、丸くなくても、揃っていなくても真珠は美しい。 人間ひとり一人、姿かたちが異なるように、真珠もまた 一粒ずつ異なる趣きを秘めている。 芸術というと少し遠い存在に感じたりもするが、日常のちょっとした風景にもアートを感じて自分なりに楽しんでみていただきたいです」話していた。