希望を持って生きる力を

トランペッター 大野俊三

30日ライブコンサート

 ニューヨーク在住のトランペッター、大野俊三が30日、イーストビレッジのザ・パブリック・シアター、ジョーズ・パブ(ラファイエット通り425番地)でライブ公演「メタモーフォシス(変身)」を行う。パンデミック前に出したアルバム「エピック(勇者の抒情詩)」からの選曲で同名タイトルの曲などを演奏する。1974年3月13日に、アートブレーキーの招きでニューヨークにやってきた。ギル・エヴァンス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックら多くのミュージシャンと共演してグラミー賞をはじめとする多くの賞を受賞する中で、渡米直後の母親の自殺、その後も交通事故、第4期咽頭癌を経験し、その回復の過程で逆境を超えた可能性を見出してきている。今でも、右側の唇、頬、喉、肩から125の筋肉とリンパを切除したため神経がない。唇の左側で演奏する。術後、あらゆる世界の一流トランペット奏者についてリハビリをしたが、何度ももうダメかと挫折しそうになったという。項垂れて歩いている目に飛びこんだグランドセントラル駅の看板の文字「HOPE IS POWER」に勇気づけられた。「生きているだけも奇跡だ。まだ俺にはトランペットがある」。

大野がトランペットの世界に入るきっかけとなった映画「トランペット少年」(1955年、東映)のポスター

 小学生時代、学校で年に2回、文部省推薦の映画を観に映画館へいく行事があって、そこで見た「トランペット少年」(1955年、東映)に魅了されたのがトランペットとの出会いだ。岐阜県長森中学の吹奏楽部に入ってそれからは朝から晩までトランペットばかり吹いている、まさにトランペット少年だった。今、75歳。「慈悲とは悲しみを慈しむこと。今回の演奏会は自分に優しく、親切にすることで希望を持ち、その生きる力を感じていただける清涼剤になってもらえたら」と言う。   (三浦)

 演奏会は30日(土)午後7時開演。入場料20ドル(+ドリンク2杯またはフード12ドルミニマム/1人)。電話212・539・8777、チケット申し込みは

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