自立した女性描きたかった メトロポリタン美術館「あさきゆめみし」展示

源氏物語展
漫画家の大和さん講演

「源氏物語」展を開催中のメトロポリタン美術館(5番街1000番地)は8日、漫画『あさきゆめみし 源氏物語』の作者である漫画家の大和和紀(やまと・わき)さんと同展共同監修者のメリッサ・マコーミック・ハーバード大学教授とのトークイベントを開催した。
 漫画について大和さんはは「印刷されることを目的に描かれるものなので、美術館での展示、しかもメトロポリタン美術館と聞いて最初は、ウソー、マジ?ってびっくりしましたが、こうして展示されているのを見て、本当に感動して光栄に思います。漫画は、一枚の絵の中に、顔、表情、ファッション、背景が同時に描かれていて、一瞬にして分かってもらうことができ、1000年の昔に書かれ、話も複雑なこの長編を描くには漫画の方が読みやすいと思いました」と話した。作品『あさきゆめみし』については、「15年かかった作品で、はじめは恋愛ものでスタートしたが、3年目くらいに考えついたのは、紫式部が描きたかったのは、女が男によって不幸になるのではなく、人生も男に引きずられて生きていくのではない、女性の自立がテーマなんじゃないかなと。だから最後は、男と女の違い、気持ちのすれ違いを描くことで、二人の男性に愛されて本当に弱かった浮舟が、一人の人間として自立していく姿を描いて完結としたいと思った」と述べた。
 時代が変わり、漫画の世界も様変わりしているなかで、仕事の日常については「パソコンは使わず、スクリーントーンも手削り。毎月40ページの作品を、自分1人でネーム(漫画のふきだし/せりふ)を考えるのに10日間、スタッフと作画に8日間、ほかは資料を見たり研究にあてます。ホテルで一週間とか缶詰になって仕事をしてると、締め切りが開けて外に出たら季節が変わっていた、みたいなこともあり、人には会わない、誰とも口をきかない、えらい孤独な仕事何です。光源氏のような人は現実にはいないので、作品には役にはたちませんが、原作を自分というフィルターを通して出していくということです。ドロドロした世界をドライに乾いて描いたことで読みやすかったかもしれません」と話した。
 メトロポリタン美術館が漫画を展示物として紹介するのは同館始まって以来初めて。展示は16日まで。