編集後記

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。ニューヨーク州ウエストチェスターのホワイトプレーンズにあるこどものくに幼稚園は、今年4月で創立50周年を迎えました。ニューヨーク地区で最も古い日本人幼稚園です。園長の早津邑子さんがニューヨークに来たのは1973年。27歳の時でした。日本で保育園と幼稚園に勤務し、米国の幼児教育事情を見学するため短期滞在の予定で来米しました。ある日、現地校を見学している時に、外で子どもたちが遊んでいて、日本人の子供と思われる児童が、砂場で一人で遊んでいた。ほかの子どもたちとは交わらず、30分も40分も同じ姿勢で遊んでいた。英語で「ホワッチュアネーム」と聞いた。子どもはじーっとしている。「こんにちは」と今度は日本語で声をかけた。「その子は、ハッと振り向いてわーっという顔を見せたのです。その時のあの顔は50年経っても忘れられないです。しばらく砂場で一緒に遊んでいると日本人のお母さんが迎えに来たんです。お母さんは、自分の子どもが、ゆめゆめ一人ぼっちで遊んでいることは考えていなかったのです。なぜなら、その子はいつも『お母さん今日はこんなに楽しかったよ』と話し、一人で寂しかったとは言わなかったからなんです。お母さんと二人で泣きました。それがきっかけですね。私はこの子たちの代弁者にならなければ、との思いのみでした」と50年を振り返る。子どもを思う保護者たちの熱意が早津さんをニューヨークに留まらせた。創立50周年式典が4月27日午後、同幼稚園講堂で盛大に開催されました。卒園者、保護者、招待客ら約300人が集まりました。1970年代にクイーンズのこどものくに幼稚園で同級生同士だった川田健一さん(53)と理恵さんはその後結婚し、会場で紹介され二人並んで挨拶しました。早津園長は「子どもたちが皆大きくなって立派に成長された姿を見て感無量です」と喜んでいました。今週号教育面で掲載しています。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)