NY日本食レストラン協会会長
木下直樹さん(69)
4月28日に開催された定例理事会で、ニューヨーク日本食レストラン協会(NYJRA、NY Japanese Restaurant Association)の会長に就任した。45年あまりのニューヨークの老舗「レストラン日本」の支配人、CEOとして日本食の対米普及に貢献してきた経験と手腕を見込まれての就任だ。
NYJRAは2020年1月設立以来、ニューヨーク地域における日本食レストランを代表し、日本料理とその食文化の振興に取り組んでいる団体だ。日本食レストランが直面するさまざまな課題の解決に役立つ調査や情報提供を行い、それにとどまらず、政府機関への政策提言も積極的に行っている。コロナ禍パンデミックの時は、市内全域で店内営業ができなくなったが、アウトサイド店舗の設営基準の会員店への迅速な広報活動やオンライン講習会を開催、また、ロビー活動を通じて従来販売カテゴリーがハードリカーだった日本の焼酎をビール並みにレストランで飲める基準まで下げることにも成功した。
政府機関との交渉は、恩師レストラン日本創業者の倉岡伸欣氏が築いたトラフグ輸入解禁でも毎回JFK空港の税関でバイヤーズ・アソシエーションの代表としてFDAとやりとりした経験から現場感覚は今も現役だ。
日本食レストランを取り巻く環境は、トランプ大統領の対日関税25%課税やニューヨーク市内の物価高騰、キッチンヘルパーなど現場の底辺を支えている移民労働者の激減など、日に日に厳しさを増している。最盛期120店ほどあった協会加盟会員は現在70社あまりに減っている。
「第一に会員にとって何がベネフィットになるのかを考えたい。コンプライアンス(法令順守)、保健局対応、チップ、オーバータイム、人事管理、労働力確保、保険代の高騰などレストランビジネス、外食業界の内側を全て見てきた経験があるからこそ分かるレストラン業界の悩みに寄り添ったサポートをしたいです」という。
就任以来、「NYJRAの果たす役割、存在意義の明確化」を再認識すべく、協会各理事、輸入卸業者、食材サプライヤー、レストランコンサルティング、法務アドバイザー、政府機関など、幅広い分野との意見交換を交わし、包括的なサポートの活性化を目指している。
「ニューヨークの日本食市場の活性化や食文化の普及にはさまざまなアプローチがありますが、私たちは、日本食レストランこそがその中心的な役割を果たすと考えています。会員の皆様と手を携え、日本食文化の発展と普及に共に取り組むことができれば、これに勝る喜びはないです」と語る。
1975年 兵庫県立龍野高校卒業。78年 慶應義塾大学法学部政治学科卒業。慶應義塾体育会バレーボール部主将を務め、世界バレーボール連盟公認 国際コーチライセンス取得。パキスタン男子ナショナルチームコーチ就任(1978〜79)。母校慶應の先輩、レストラン日本創業者の倉岡社長(故人)に請われてレストランビジネスの世界に入った異色の経歴の持ち主。趣味は最近自宅近くのイーストリバーでできるカヤックに心酔している。(三浦良一記者、写真も)

