申請手こずる日系企業

給与保護プログラム第2弾

 従業員500人未満の企業に対する支援として、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法ケアズ・アクトが3月27日に成立し、給与保護プログラムPPP(Paycheck Protection Program 、予算3490億ドル)と経済的損害災害融資プログラムEIDL(Economic Injury Disaster Loan Program)が米国中小企業庁(SBA)による災害時の企業救済制度として5620億ドル充てられたが、先着順だったこともあり4月16日、SBAは財源の枯渇を理由に新規受付を停止。経済界の強い要請を受けて議会が動き、24日に追加支援として新たに4840億ドルが提供されることになり現在も受け付けている。追加配分の内訳はPPPに3100億ドル、EIDL資金として新たに600億ドル。今回も早いもの勝ちで財源が振り当てられるため、早めの申請が望まれるが、取引先銀行が新規の申請を受け付けていないところも出るなど、手こずっている日系企業が少なくない。

 申請できるのは、中小企業の雇用維持受給資格従業員数500人未満の企業で(外国企業も含む)、支給額は従業員への月平均給与の2・5倍。ローンだが使用目的に該当すれば返済しなくていい。融資期間は利息最長2年、利息1%で最初の6か月間は支払いが猶予。利用できるのは、給与、住宅ローン、オフィス賃料支払、公共料金で、支給日から8週間内に使用し、給与支払い(75%まで)および不動産ローンの利息、家賃、および公共料金(ローンの最大25%)に利用された場合に返済が免除される。社員1名からでも、個人事業主でも応募ができる。オンラインでのみ受け付けている。

 申請手続は、その企業の取引先金融機関が奨励されているが、銀行によっては、第1次の受付で間に合わなかった応募を行員がマニュアルで1件1件、申請資格をチェックしているため処理が追いつかず、SBAが申し込み受け付けを再開したにも関わらず、現在新規を受け付けていないところもある。

 ニューヨークで事業を行う日系企業A社は、会社の口座があるチェース銀行に最初の申請をオンラインでしたが、その時は、会社の税務申告書類W3のPDFの添付が用意できずに一旦やめたところ、その日の夜に申請が予算上限に達してしまって締め切られた。1週間後、第2弾の受け付けが開始された翌日に再びチェースのサイトに行くと「現在新規の受け付けは行っていない。追ってアナウンスするまで待つように」との頭取名のレターが表示されるだけ。A社の担当者は困って、直接、ロックフェラーセンターの同銀行に出向いて相談したが「オンラインでないとできない、画面に表示されている以外のことは分からない」と素っ気ない対応。

 このプログラムが開始された直後に全米の日系企業を対象にウェブセミナーを緊急開催したシカゴの公認会計士事務所CDHに相談したところ、代替申請金融機関の受付トップ5リストのリンクを教えてもらった。すぐに申請手続きを行なった。引き受け金融機関としてリストされていた5社の中から馴染みのあるペイパル(paypal)を選んで必要事項を記入、申請自体は10分で終わった。A社の担当者は「申請が最終的に認可されるかどうかはまだ分からないが、とりあえず、申請だけは今回受理されて間に合ってよかった」と胸をなで下ろしている。A社が利用した5つの代替申請機関のリンクは次の通り。https://www.crossingbroad.com/2020/04/ppp-application-online.html