日本はパレスチナ国家を“未”承認

 石破茂首相は9月23日の国連総会で、日本がパレスチナの国家承認をしないことを、「するか否かではなく、いつ承認するかの問題だ」と演説しました。イスラエルのガザ攻撃を強く非難すると共に、「イスラエルによる一方的行為が継続すれば、新たな対応をとることになる」とも述べました。

 「二枚舌外交」で現在の中東の対立を生んだ元凶と言われる英国、仏国を初め多くの国々が最近承認を決定し、その合計は193の国連加盟国の約8割となります。しかも国連常任理事国の米国以外の仏英中露4か国も含まれます。

 日本は1970年代の石油危機以来、アラブ諸国との関係や国連外交を重視してきました。2023年10月以来日本政府が行ってきたガザにおける水、医療、インフラ整備などの血税3848億円の援助がイスラエルの空爆で破壊されています。しかし、日本が承認できなかったのは、米国からの圧力であることは想像できます。

 米国の圧力を乗り越えて英国や仏国などが動いた陰に、イスラエルとパレスチナ双方の有志による連携があります。イスラエルの元官僚、外交官などと、パレスチナ側でハマスも現パレスチナ自治政府も支援しない有力者達です。この人達は、「二国間解決(共存)」を達成しなければ、紛争が未来永劫続くとの危機感で行動し、一緒に仏国のマクロン大統領に直談判しました。私もこの人達の連携を手伝ってきました。

 イスラエルでは最近、政府高官や外交官などの辞任が増大し、外国に逃れる中産階級の人々も増大しています。元々イスラエルはロシアから逃れたユダヤ人が多く、欧州諸国から逃れた米国のユダヤ人の構成とは異なると言われます。戦闘継続しか生き残れないネタニヤフ首相と、それを支える右派政治家の突出が懸念されます。

 最近、国連人権理事会の調査委員会が、ガザでのイスラエル軍の行動をジェノサイドと認定しました。ユダヤ人が大量虐殺されたホロコストを防ぐために制定されたジェノサイド条約に基きイスラエルが指弾されるという皮肉です。

 9月29日のトランプ・ネタニヤフ会談後の和平案に対し、林芳正官房長官は「二国家解決に向けた重要な一歩」と述べました。英国ブレア元首相も和平案作成に関与していました。日本外交が、受け身ではなく、関与している姿を見たいものです。

ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会長、岐阜女子大特別客員教授も兼任。