新感覚のインドネシア料理

 現在世界各国に約40のレストランを経営する米国屈指の料理人、ジャン・ジョルジュ・ヴォングリクテンヴ氏の子息セドリック・ヴォングリクテン氏は、マンハッタンのウェストビレッジにある、2005年開店の現代米国料理店「ペリー・ストリート」の料理長として定評高いシェフである。その氏がインドネシア人の妻と2019年2月、ノリータに開いた「ワイヤン」が話題だ。
 テーマは、フランス料理にスパイスやソースなど、豊かなインドネシアの風味を取り入れた料理。例えば伝統的な鶏の串焼き「サテー」(14ドル)には旨味の強い脚肉のみを使い、薄切りにして均等な火入れに。クラシックなインドネシア流ピーナツソースを添え、素朴な料理の味わいを繊細に伝える。また野菜、茹でた鶏卵、濃厚なピーナツソースからなるインドネシアを代表するサラダ「カドカド」(16ドル)は、親しみやすくピーナツソースを軽めに仕上げ、代わりに米国で人気のアボカドでクリーミーさを表現。一方スズキは伝統流にバナナの葉で包んで蒸し、客席で開いて豊かな香りを伝える。東南アジア原産柑橘カラマンシー風味のヴィネグレットで爽やかな味わいに仕上げた一品だ。
 メニューには串焼き3品、小皿9品、メイン9品、付け合わせ6品を用意。例えば2名なら、各項から1-2品を分け合って多彩な品々を楽しむお客が多いという。
 店内はバーカウンターも備えた活気あるフロントルーム、オープンキッチンに面した6席のシェフスカウンター、その奥にある落ち着いた雰囲気のダイニングからなる。それぞれ軽い食事とドリンク、美食体験、ハレの機会と言った異なるニーズに対応してくれるのもうれしい。常連客は30%に上る人気ぶりだ。
「独自の魅力溢れながら十分知られていないインドネシア料理の魅力を、大切に伝えていきたい」とヴォングリクテン氏は話す。
(ニューヨーク在住ジャーナリスト 片山 晶子)


Wayan
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