不法移民1万人を拘束

ICE5日間で
合法滞在者にも不安広がる

 米移民・関税執行局(ICE)が6月最後の5日間で1万人を超える移民を拘束したことが、ニューヨーク・タイムズ紙の独自取材で明らかになった(7月1日付電子版)。同紙が入手した内部文書や連邦当局者への取材によると、ICE幹部は国外退去対象者の摘発を大幅に増やすよう指示を受け、1日あたりの拘束者数は年初の約1000人から倍増した。ホワイトハウスは、1日2000人の拘束を新たな基準として求めているという。

 今回の摘発強化は、昨年のシカゴやロサンゼルスでの大規模作戦のような派手な事前発表を伴わず、より静かに進められている。ICE職員は移民当局への定期出頭時、交通取り締まり、路上などで拘束を行っている。内部文書によれば、拘束者数は6月27日に2400人を超え、ICE施設収容者は6万3000人超に達した。

 トランプ政権は大量強制送還を公約に掲げ、国土安全保障省は「不法に入国すれば、見つけ出し、逮捕し、送還する」と強調している。一方で、各地の移民弁護士や支援団体からは、通常の出頭手続き中に拘束された例や、教会に向かう途中の修道女、サッカー観戦に向かう父親が拘束された例も報告されている。

 摘発強化は政権支持層には評価される一方、犯罪歴のない移民や家族を持つ労働者にも不安を広げている。移民弁護士は「人々は買い物に行くために運転することさえ怖がっている」と話している。

 摘発対象は主に不法滞在者とされるが、在米日本人にとっても無関係とは言い切れない。ビザ更新中、永住権申請中、過去の滞在記録に不備がある人、家族に非移民ビザ保持者がいる家庭などは、交通違反や定期出頭をきっかけに移民当局との接点が生じる可能性がある。移民法の運用が厳格化する中、身分証明書、滞在資格を示す書類、弁護士や家族の連絡先を確認しておくことが、これまで以上に重要になっている。

 また、米国の永住者は18歳以上の場合、法律上、有効なグリーンカードを常時携帯する義務がある。とはいえ、紛失を恐れて家に保管し、通常は運転免許証などだけで日常生活を送る人が少なくないとみられる。しかし移民取締りが強化される中、交通取り締まりや空港、国境付近などで身分確認される可能性を考えると、滞在資格を示す書類の管理と携帯には改めて注意を払う必要がある。コピーやスマホ写真は紛失時の確認には役立つが、法律上の「携帯義務」を完全に満たすものではない。

 また現状では、ニューヨーク、コネチカット、ニュージャージー各州は、連邦政府が地方自治体の警察に連携を進めるICE業務の委託には反対の意向を示しているが、助成金交付などにより多くの州が地元警察に不法移民の取り締まり業務を進める方向で拡大している。