仙石さんやすらかに

舞台芸術で日米結ぶ

二人の息子、葬儀で涙の「ありがとう」

仙石さんの訃報を掲載した10月7日付NYタイムズ紙

 9月30日に83歳で亡くなった演劇プロデューサーの仙石紀子さんの葬儀が、アッパーイーストサイドのフランク・E・キャンベル葬儀場でしめやかに行われた。会場には生前仙石さんが招聘を手がけた作品ポスターやニューヨークタイムズ紙の演劇評などの切り抜きが置かれ、ビデオモニターには世界を飛び回っていた頃の映像が流れていた。

 中川顕實法師による読経と法話があり、子息のジェームズさん、クリスさん兄弟がそれぞれ来場した列席者に生前の母親への協力と友情に感謝の言葉を述べ目頭を押さえた。

 仙石さんは蜷川幸雄演出「王女メディア」、「Ninagawa マクベス」、野田秀樹演出「彗星の使者」、セントラルパークでの梅若六郎による薪能など、数々の日本の舞台をプロデュースしたことで知られる。当日は、BAM のエグゼクティブ・プロデューサーを長年務めたジョー・メリロ氏、ラ・ママ実験劇場から理事長のフランク・カルッチ氏ら4人、ブロードウエーのプロデューサーでゴージャスエンターテインメント社長の吉井久美子氏、演出家の河原その子氏、映画監督・俳優の鈴木やす氏、ニューヨーク日系人会事務局長の野田美知代氏、同郷から愛知県人会、鈴木食堂の鈴木啓一氏など70人近くが出席した。日本から歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助両氏と、劇団四季から献花が届いた。吉井久美子さんは「仙石さんが亡くなって、ひとつの時代が終わったと感じました」と話していた。