危険な地下鉄、利用増と犯罪正比例

観光客切りつけられる

タイムズスクエアで午前4時

 タイムズスクエアで1日午前4時すぎ、メリーランド州から来ていた観光客の男性が顔を切りつけられ、強盗の被害にあう事件があった。警察によると、男性がブロードウエー40丁目にあるドラッグストアのCVSでサンドイッチを買い、外で食べようと店から出てきたところに、男2人と女ひとりの3人組が近づき、薬物を売ろうとしてきたという。男性が断ると彼らはガラス瓶で頭を殴り、顔面を切りつけ、さらに現金140ドルを奪って逃走した。NY滞在中に30歳の誕生日を迎えていた被害者の男性は、右の頬を16針縫う怪我を負った。経済の回復とともに観光客の増えているニューヨークでは、観光客が暴行や強盗、ヘイトクライムなどの被害にあう事件が多く報告されている。

125丁目駅、背中刺される

 マンハッタンの地下鉄125丁目駅構内で6日午後1時過ぎ、男性が男にナイフで背中を刺される事件があった。警察によると被害者はマウントサイナイ・モーニングサイド病院に運ばれ、容態は安定している。容疑者の動機は判明しておらず、襲撃後に駅を飛び出し、まだ捕まっていない。目撃者によると青い眼鏡、ジーンズ、青いジャケットを着ていたという。

憎悪犯罪も増加、NYPD調べ

 ニューヨーク市警(NYPD)が毎月同市での犯罪統計を前年の同月に比較して発表したところによると、9月はアジア系への憎悪犯罪数が2件で昨年同時期の6件より減少、今年3月以降、前年の同期に比較して毎月50%前後減少の傾向をたどって来た。2019年末に中国の武漢から発生したとされたコロナ禍が始まって以来、それまで微々たる数だったアジア系への憎悪犯罪が急上昇、2021年1月から5月末までのNYPDの統計では前年同期の20件から87件へと急増した。しかし現在、アジア系への憎悪犯罪数が減少する反面、ユダヤ系やエスニック(異民族)、黒人などを対象とした憎悪犯罪が増え、9月の憎悪犯罪全体では19%増加している。(右図参照)

 ほかの犯罪カテゴリーでは殺人が昨年の同時時期に比べて23・5%減ったものの、強盗(22・7%)や窃盗(21・5%)などが増え、全体では15・2%増加した。また、同市の銃撃事件は136件から118件に減少したが交通機関(トランジット)では191件から198件に増えている。(ワインスタイン今井絹江)