障害乗り越え NYでアート

松嶺貴幸の表現に喝采

 宇宙服のような白い服にゴーグルをつけて登場した松嶺貴幸(タカ)。8月22日、ホワイトボックス・ハーレムの夏のパフォーマンス・シリーズのフィナーレでアシスタント二人に自分の体をキャンバスに横たえるよう指示をする。二人はその後、絵の具を体に撒き散らす。そして顔にも撒き散らすようにコントロールするタカさん。絵の具で人型ができると服を脱がせてもらい、そのあとはキャンバスを壁に移して、筆を口にくわえて描き始めた。描いたのはバラ。彼の作品の中で「希望」を意味するシンボルだ。そして描き終わってぐるりと聴衆に向かってタカさんは狂喜のうちに叫んだ。「Here is my ability, thank you New York! これが僕のできることだ、ニューヨークよ、ありがとう!」。2001年にスキー事故で脊髄を損傷し車椅子の生活に。2013年単身でロサンゼルスに渡りサンタモニカカレッジでインダストリアルアートに出会う。「夢に見たニューヨークでアート表現を実現できて嬉しい。これからも高みを目指して活動を続けていきたい」と笑顔を見せた。会場では三味線奏者の史佳がエネルギッシュな演奏を聞かせた。(三浦)

(写真左)筆を口にくわえて作品を仕上げるタカさん(8月22日夕、 ホワイトボックスで)