犯人はビル33階で自殺
マンハッタンで7月28日午後6時半ごろ、パーク街52丁目345番地にある44階建て高層ビルに男がAR15ライフル銃を持って侵入して銃を乱射し、5人が撃たれ、警察官を含む4人が死亡した。容疑者はビル内のオフィス33階で自殺した。アダムス市長が同日夜記者会見し、容疑者はネバダ州から来た27歳の男で、名前はSHANE TAMURA で犯行動機は捜査中とした。
タムラ容疑者は、ラスベガス都市警察発行の有効期限2027年の銃所持許可証を持っていた。高校時代はフットボール選手として活躍したが、精神障害者としての治療を受けた経歴があるという。最近までラスベガスのカジノの守衛として働いていた。襲撃されたビルには全米フットボール協会NFL本部が入居しているほか大手公認会計事務所のKPMGなどが入っている。ビルはウォルドルフ・アストリアホテルやNY日本総領事館があるビジネス街中心のミッドタウンと呼ばれるエリアにある。
NY日本総領事館は事件から約1時間後の午後7時41分に注意喚起の緊急メールを在留邦人に送った。内容は「ニューヨーク市警察は周辺地域を封鎖し、屋内退避命令を発令しています。事件現場には決して近づかず、不要不急の外出(特に人混み)を避けるとともに、ニュース等で最新の関連情報の収集に努めてください。万が一、邦人被害の情報に接した場合には、当館にご連絡ください」というものだ。
死亡した警察官はディダルル・イスラム巡査(36)。勤続4年目で妻は3人目の出産を控えているという。容疑者が33階まで上がるには、通常はロビーの1階にある受付カウンターが発行するエレベーターに乗るための磁気カードが必要だが、どのようにして33階まで上がることができたのかは不明。容疑者は黒いBMWを運転して事件当日の午後ニュージャージー州からマンハッタンに入り、パーク街の51丁目と52丁目の間に路上駐車した。警察が車内を調べたところ銃弾の入ったライフルと銃弾の装填されたリボルバー式の短銃が見つかっている。ライフル銃を乱射し、自殺した容疑者のラストネーム(苗字)が「タムラ」となっているため、日本名との関連性があるのか、NY日本総領事館に問い合わせたところ「総領事館では容疑者の国籍は承知していない」との回答だった。マンハッタンオフィス街のど真ん中、平日月曜日の午後6時過ぎの帰宅ラッシュアワーに起きた事件にマンハッタンは騒然となり、同日夜遅くまでパーク街のミッドタウンの道路が封鎖されるなど、ものものしい状況が続いた。
(写真左)事件後、封鎖されたパーク街(7月28日午後8時、三浦良一撮影)
(写真右)防犯カメラが捉えたタムラ容疑者

