非移民ビザ規則緩和

学生や報道関係代表者ら安堵

 米国土安全保障省(DHS)は7月6日、昨年9月に発表された、F、J、Iビザの非移民の滞在期間を管理するビザ規則制定案を撤回した。

 トランプ政権下の昨年9月25日、国土安全保障省は「非移民の学生、交換訪問者、および外国情報メディア代表者の一定期間の入学および滞在手続きの延長の確立」というタイトルのビザ規則制定案(NPRM)を発表した。これはF(学生)、J(交流訪問者)、および特定のI(報道関係者)ビザでの滞在期間を固定するもので、定められた期間を超えて米国に留まろうとする場合は、米市民権移民局に直接、滞在の延長を申請するか、一度米国を出たうえで米国税関国境警備局に入国を申請する必要がある。

 国土安全保障省によれば、このビザ規則制定案についてのパブリックコメントを求めたところ30日間で3万2000件を超えるコメントが寄せられたが、その99%がこの案に反対し撤回を求めるものだった。反対理由としては、国籍に基づいて特定のグループを差別していると主張するコメントがあった。また、滞在延長の申請・承認が遅れるなどした場合、学業や研究、仕事の中断が生じ、留学生、交換学者、外国メディアの代表者、および米国の雇用主らには大きな負担となることがあげられた。特に延長が認められなかった場合は法外な費用と時間を負担することになるとしている。一方、賛成は1%で、賛成理由は不法移民の阻止、米国労働者の保護、スパイ行為防止などだった。

 バイデン大統領は今年2月2日に「合法的な移民システムへの信頼を回復し、新しい米国人のための統合と包含の努力を強化する」することを旨とする発行大統領令第14012号を発令、このなかで国土安全保障長官に、移民給付へのアクセスを妨げる障壁を特定するように指示している。トランプ政権下で出されたこのビザ規則制定案を撤回することはバイデン政権の意向に沿ったものと言える。トランプ政権下の4年間に移民ビザを新規申請する際に過去に米国の社会福祉の公的支援を受けていると申請資格を削除するとか、最低収入限度額に上限を儲けるなど、さまざまな移民規制が設けられたことで、外国企業駐在員の後任ビザの認可に遅れが出るなど大きな影響を及ぼした。