帰国土産は日本米 「日本より安い!」

 日本国内で、全国的な米不足で、価格高騰が深刻化している一方で、米国では日本のお米が安く買えるということで一時帰国の際に、日本から輸入された日本米をお土産に持って帰る人が出始めている。日本で5月5日から11日までの銘柄米は5キロあたり4434円で前週比36円値上げ、ブレンド米は同3895円で同54円の値上がり。インフレが続くニューヨークでは、日系食料品スーパーで、日本から輸入された米が24ドル(1ドル150円換算で3600円)などで販売されている=写真=。日本から輸入された滋賀県産のこしひかりや、北海道産のななつぼし、ゆめぴりかなど日本の米が山積みになっている。

 カリフォルニアでは一昨年の水飢饉で、米の生産が大きく低下したことで販売価格が高騰し、それまで割高感のあった日本からの輸入米と値段格差が縮まったことから、在米邦人家庭では、値段に大きな違いがないのなら日本米へとシフトする消費者が多いようだ。

 日本から米を輸入販売しているある日系業者によると「1年ほど前からカリフォルニア米の価格が上昇している一方で、日本からの輸入米はほぼ値上げをしていないため価格差が縮まってきていると感じる。日本国内の米不足や価格高騰のために、こちらから一時帰国するときに、輸入された日本産米をお土産に買って行かれる方もあります」と話す。

 日本から米をアメリカに輸入し、米国で精米して卸販売、小売を5年前からニューヨーク州ウエストチェスターでしているライスファクトリー(WAKKA USA)CEOの伊藤聡さんは今後の日本からの輸入日本米の見通しについて次のように語る。

 「the rice factoryでは、輸出用米という日本国内の需給に影響を及ぼさない枠組みの中で日本産米を調達をしているのですが、制度の性格上、価格交渉は播種前に行う必要があります。昨夏から日本国内ではお米の高騰、不足が騒がれ始めましたが、私たちはその時すでに価格、数量ともに決定していたので、現状はその水準で適正な価格設定をして販売しております。ただ2025年産は大幅な価格高騰を受けてからの値決めになりますので、ある程度は吸収しても、値上げに踏み切らざるを得ないと思います。数量に関しては、おかげさまで長年お付き合いをさせていただいている産地から、今までと同様に出荷頂けるとお話をいただいておりますので、ユーザーの皆様には安心して召し上がって頂ければと思います。トランプ大統領による関税の影響は、今のところまだ大きくありませんが、先が見えず不安もあります。最近は日本人以外のお客様も多く、日本産米のファンが確実に増えていると実感しています」と話す。

(写真)NYの日系スーパーで販売されている日本米