日本の実家、空き家対策を 山口里美さん解説

JAAヘルスフェア

 ニューヨーク日系人会(JAA)が主催する第17回春のヘルスフェアで、NY日系ライオンズクラブが企画する大人の教養シリーズ第9弾が21日(月)から5月1日(木)までYouTubeで無料公開されている。日本で活躍する4人の有名講師陣が各30分の担当時間で連続してセミナーを配信。講師はファーストブランド(本社大阪市、河本扶美子社長)が運営するマイベストプロの登録メンバーが担当する。期間限定で日本の事情や生活を豊かにする情報を提供する企画として毎回人気の講座だ。今年は、4人の講師が担当する。今週号で常連の山口里美さん(一般社団法人 日本リレーションサポート協会代表理事)が「あなたの実家は大丈夫?」と題し、今からできる空き家対策を解説する。

【講演要旨次の通り】 

 もし実家が空き家になってしまうと街並みの景観の悪化や治安の悪化など住宅地全体がイメージダウンになる。不動産整理は早めに考えておくことが大事だ。誰が相続するのか、リフォームして住み続けるのか、対策には不動産価値を査定して早めに把握しておくこと。大切なのは家族で考えること。

 親世代が考えること。認知症で判断能力を失ってしまうと不動産を自由に処分できなくなるので対策のための成年後見制度として法定後見制度と任意後見制度を利用できる。不動産を所有している親が元気なうちに子供と任意後見契約を結ぶことで、不動産を貸したり売却したりすることができる。もうひとつの制度として特定の財産を子供に託すことができる民事信託がある。これにより子供が自由に不動産を修繕、売却、建て替え、賃貸借契約、管理委託契約できるようになる。不動産や財産を渡すことを決めるには遺言書が大切。遺言書は遺書ではなく、意思をしっかり反映するための権利。間違いや不備をなくすため、公正証書遺言を。

 遺言書が特に必要とされる人は=再婚して前妻(前夫)との間に子供がいる、結婚しているが子供がいない夫婦、特定の子に多くの財産を相続させたい場合など。

 相続登記が済んでいるかの確認

 次のひとつでもあてはまれば、司法書士への相談を奨励。(1)相続登記を放置し続けている(2)山林・農地を受け継いだが何もしていない(3)役所から亡き祖父の固定資産税納付通知書が届いた場合。

 2024年4月1日から相続登記が義務化された。相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料の対象になる。不動産所有者の名称、住所に変更があった場合は、その変更から2年以内に変更の登記申請をしないと5万円以下の過料の対象になる。

 大切な実家を空き家にしないためには、人に売るか人に貸すかの選択となる。親の死後に相続人が親の家を相続する場合は空き家となるケースが多い。将来の売却、賃貸に備えてリフォームやメンテナンスも重要だが費用がかかるので早めの対策が必要だ。

▽本講座は無料だが視聴するには登録が必要で、申し込みはEメールでinfo@jaany.orgまで。申し込み者に視聴URLのアドレスを通知する。問い合わせは電話212・840・6942。