老後の幸せとは? 日米の違いを実感

日本の介護・帰国支援合同セミナー

 日本の介護・帰国支援合同セミナー(主催・ケアブリッジ株式会社、内山公認会計士事務所、後援・週刊NY生活)が3月22日夕、グローバルラボで開催された。参加募集定員30人のところ65人の応募があり、当日は50人以上が参加する盛況となった。前半は、日本の介護事情や幸せな老後の過ごし方について、日本全国でかざぐるま式有料老人ホーム、在宅介護事業を展開するケアブリッジ株式会社CEOの青木幸司さんが解説。後半は、日本帰国後の財産管理や税務処理などお金のことに関することについて、公認会計士/税理士で30年以上にわたり日本と海外の顧客の相談に答えてきた内山典弘さんが詳しく解説した。
 続いて、ケアブリッジ株式会社COOの平田裕也さんが介護の日米比較について具体的に紹介。最後に日本で訪問看護/リハビリステーションの看護師、加藤千春さんが介護保険の利用の仕方などを紹介した。

■「やりたいことリストを作って、すぐに実行を」
 青木さんは昨年1月、父親が脳硬塞で倒れた時に偶然その場に居合わせた。親が倒れてはじめてもっと早く親孝行をすればよかったと後悔したという。リハビリが奏功し、その後父親の切望したハワイ旅行も家族で実現でき、親孝行することができた。
 「人生はロックンロール」という青木さんがセミナーで伝えたのは「心が震えるような感動のある生き方」の提言だった。緩和医療医・大津秀一の著作『死ぬときに後悔すること25』を紹介しながら「人生の時間は有限。誰にも等しく死は訪れる」そのために、やりたいことのリストを作り、それをできるところからすぐ実行することをジャック・ニコルソンが主演した映画「最高の人生の見つけ方」を引き合いに説明した。

■「お金の管理で悩む問題は専門家に相談を」
 内山さんは、お金の世界で成功した人の共通点、ハッピーリタイアの成功例と失敗例などを説明して相続や事業継承の仕方をアドバイスした。「お金の世界は、知らないだけで数億円単位でお金を失うこともある。人生を棒に振ることもある」と警告した上で、お金の世界で成功した人の共通点を、セミナー一番のポイントとして紹介した。成功者の共通点は(1)本業できっちり儲けてきた(2)本業を極め、全くブレない(3)本業でビジネスモデルをしっかり持っている(4)若い時に貧乏のどん底を経験している(5)目利き力、先見力を持っているとし、さらに、個人と法人を国内運用と海外運用に区分し、世界レベルで最適化を目指す。リスクへの備えがないと財産を失う危険があると述べ、お金の管理は専門家に相談することを奨励した。

■ニューヨークと日本でのシニアライフの比較
 平田さんは、人が亡くなるまでに平均して約10年間は介護が必要というデータを示しながら、10年間介護を受けた場合の生活費のシュミレーションを日米で比較して披露した。
 ニューヨークで、円換算にして時給3000円のヘルパーを1日12時間雇うと諸経費込みで月額126万円。年間で約1500万円、10年間で1億5000万円が医療費とは別にかかる。米国では病気になると高額な医療費がかかる。子供が経済的負担を被ることもあり自己破産のリスクがある。一方、日本は、同条件で介護保険を利用した場合、月額の介護料負担は14万円から34万円。年間170万円から400万円で、10年間だと1700万円から4000万円と、日米の介護費用に1億円以上も差が出てくる。「その分を家族旅行や相続に使うことができる」などと比較の現状を報告した。日本の介護保険料は平均月5000円。

■日本での介護保険の加入の仕方
 看護師の加藤さんは、介護保険に関するよくある質問について答えた。介護保険の利用は基本的に65歳以上の人が、介護保険申請を行い、認定審査会で介護度が決定し、担当のケアマネージャーがつく。その担当ケアマネージャーと相談して介護サービスが利用開始になるなど状況を説明。在米の高齢者を日本に帰国させる場合にかかる費用は、住まいや病院を探す帰国準備のための一時帰国(3回)と滞在費用が合計で460万円、準備期間として早くても1年から2年が必要との例を紹介した。