高齢化の意識調査 NY日系人会が報告書

漠然とした不安感を抱きながら平穏に過ごす実像浮き彫り

 ニューヨーク日系人会(JAA)邦人・日系人高齢者問題協議会は13日夜、第71回目となる2019年度の第1回会合を開いた。昨秋に行ったアンケート調査の結果報告書が発表された。同報告書は「在ニューヨークの日本人・日系人の高齢化に関する意識調査〜訪問介護の在り方を探る〜」と題され、調査実施責任者である桃山学院大学の遠山(金本)伊津子教授が報告書の内容を伝えた。
 同調査は40歳以上の日本人・日系人に対して郵送・手渡し・Eメールを通じて調査票を配布、回収率約30%で計610の回答が得られた。回答を分析した結果、ニューヨーク近郊の日系コミュニティーは、(1)散在(一つの地域に集住していない)している、(2)在米20年以上の人が85%と在米年数が長い、(3)老後の生活は公的年金などで経済的に安定している人が半数以上いる、(4)高い英語コミュニケーション能力を持つ、(5)医療保険加入率が高いなどの5点が明らかになった。
 遠山教授は、「一見問題がないようにみえる」と前置きしつつ、(1)不健康感と不幸感がある、(2)日常生活に対する漠然とした不安がる、(3)日本的ケアの要望、(4)可能な介護の自己負担額が低い、(5)日本への永住帰国を決めている人が約20%とコミュニティーに流動性がある、という5点を紹介した。そして、「今回はかゆい所に手が届いていないという感じかもしれないが、それは次のステップとしたい」と締めくくった。
 同報告書はJAAホームページ(www.jaany.org)からダウンロードできるほか、4月11日から28日まで開催されるJAAさくらヘルスフェアでも無料配布される予定。同会合には約20人が集まった。帰国が決まったニューヨーク日本総領事館の石塚勇人領事部長と着任した大橋建男領事部長が挨拶、新メンバーが紹介された。3か月に1度、会合が開かれる予定。
  (小味かおる、写真も)