日本の形式美で日本人の幸せ観を問う

現代アート作家
薄紫 かなさん

 ブルックリンのレッドフックエリアにあるBWAC(ブルックリン・ウォーターフロント・アート・コアリション)によって開催されている展覧会「カラー・アート・エキシビッション」で、近代美術館(MoMA)PS1のアシスタントキュレーター、ジョセリン・ミラーによる審査でこのほど審査員賞を受賞した。作品は布で縫い上げた棒状の紐を結びあげたもので、着物の帯紐などの「結び」にヒントを得た造形。紅白の紐は日本を象徴しており、タイトルは「Self binded happiness(Red and white)/セルフ・バインデッド・ハピネス」。
 作者の薄紫さんは「文化に縛られていることは、型をもつことは、幸福なのか呪縛なのかということを表現したかった」という。「アメリカの文化は縛られていることは不自由、イコール不幸だと考えられているので、そのコントラストを出したかった」とも。
 文化背景のある結びを使って、型にハマることが、幸福なのか、不幸なのかを問う、見る者によって両義性をもつ奥深い作品でもある。型や形式を重んじる日本独特の伝統や文化を表現したところが評価された。
 薄紫さんは、1988年東京都生まれのコンテンポラリーアーティスト(現代美術作家)。阿佐ヶ谷美術学校のIC科(イメージクリエーション科)在学中に映像会社の映画試写制作に携わり、学校を卒業後デザイン会社勤務のち2016年に来米した。2018年にはマイアミのマナ・コンテンポラリーで茶室の屋外インスタレーションを制作して発表、注目を集めた。今年は、韓国のCICA 美術館によって薄紫さんの代表作Crow peopleのインスタレーション作品が選ばれ展示された。
 常に現代社会における自身の考察をアートとして昇華し、価値概念の側面を見つめて制作している。東京、イギリス、ニューヨーク、マイアミ、韓国で作品を発表し、今年は美術館での展示も果たして活動の幅を広げている。
 ニューヨークに来て3年半、世界各国のアーティストたちと交流するなかで、自分自身のルーツである日本文化を見つめ直す機会ともなった。「日本の形式美を題材とした作品として形に残すことができた。将来的には、常に自身の過去の発想に囚われることなく常に新たなコンセプトと発想で作品を作り続けたい」と語った。展覧会は27日(日)まで。 (三浦良一記者)
 開催地住所は481 Van Brunt St. Door7, Red Hook, Brooklyn