米国のメジャー舞台で大活躍

ダンサー TOMO

 TOMOこと本名・石川智子(32)。身長148センチの小柄な外見からは想像できないダイナミックなダンススタイルで、数多くの有名アーティストのバックダンサーを務めるなど、今ニューヨークで最も注目を集める日本人ダンサーの1人だ。

 東京出身、6歳からダンスを始め22歳で来米。これまで、マドンナ、リルキム、ファットジョー、レミーマ、フレンチモンタナと言った錚々たるメジャーアーティストのバックダンサーとしてミュージックビデオや、ショーなどに出演した。

 最近では、世界中で大ブレイクしたカーディービーや、KPOPアーティストBTS、有名ラッパー、フィフティーセントとの共演など、彼女の快進撃は止まらない。

 また、ダンス以外でも映像大手ドルビーのコマーシャル、運動靴メーカー大手コンバースの広告でモデルを務めるなど多彩な才能を発揮している。

 もちろんここまで来るには平坦な道ではなかった。22歳の時に右も左も英語も分からず、知り合いが1人もいないニューヨークに。ハーレムにあった、2段ベッドが2つある7畳の部屋での共同生活、それが最初に住んだ場所だった

 ダンススタジオで毎日悔しい思いをして帰りの地下鉄で泣くこともあった。3か月のトレーニングを終えた帰国前、恩師に「必ず戻って来い」と言われ心を決め、帰国半年後、ペリダンスの学生として再来米した。

 高校までダンス以外には目もくれずに過ごしたが短大でダンスと一度離れたことで自分を見失った時期があった。「母親が『今ならニューヨークに行く支援をしてあげるけど、今行かないならもう一生行かせない』とダンスを本気でやるきっかけをもう一度くれた。この時の母の後押しがなかったら、今の私はいないと思う」と振り返る。

 今はハリヤマバレエや卒業したスクールのペリダンスを含む4つのスタジオで講師をしている。教えることや、振り付けなどの仕事も更にやっていきたいと将来への展望も語る。

 ダンサーになることに大反対だった父親は、今では彼女の一番のファンだ。帰国するといつもディスコに連れて行ってくれる。「20代は自分のことで精一杯だった。最近は親の近くにいてもいいかなという気持ちになることもあるけどいつかビザが取れなくなるその日までは頑張ります」と答えた。  (三浦良一記者)

@tomo6kaijohn

Photo by Naoto Sawaki